いじめのことを知りながら見て見ぬふり。その選択をせざるを得なかったクラスメイトの母親の苦しみ【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/6/24

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 ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。

 クラスメイトの母親が語った2年生時の出来事。ハルコへの嫌がらせをする犯人を先生に密告した人物として、当時ハルコと仲の良かったサキコという子が疑われた。そしていじめの標的が彼女にも向くようになり、とうとうサキコは不登校になってしまったという。

――もしご友人のお話がなかったとしても、いじめというテーマに関心を持ち、作品にされていたと思いますか?

今後描く予定の作品のテーマや内容も、いじめにつながるお話があったりもするので、何らかの形では描いていたかも知れません。

――隠していたとはいえ、子どもがいじめを受けていることに全く気付いてあげられなかった両親のショックは想像を絶します。子どもの本音を聞き出すためには、どのように対話すべきと考えられていますか?

難しいですね……。やはり普段から他愛ない世間話もたくさんしておくことでしょうか。話の上で矛盾が生じたりして、「あれ?なんだか辻褄があわないぞ?」と気がついて質問したところ問題が明らかになる。と言ったこともあるので、日頃から会話が大切かなと思います。

――この作品を読んだ先生や保護者の方に、いじめの“兆し”を見逃さないために意識してほしい視点など、本作を描いて気がついたことなどがありましたら教えてください。

子どもはいじめられていることを隠す傾向がありがちなので難しいですが、作中のように何らかの報告があったり、違和感を感じる場面(自然教室でひとりで活動していたりなど)があれば、先生には保護者と情報を共有してほしいです。保護者は、そうした小さなサインを見逃さずに日常会話の中から変化を感じ取れたらいいなと思います。

 笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。

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