筋トレ中だって食を堪能したい。筋トレ女子と営業マンが巡る美味しくて栄養満点の全国ご当地グルメ漫画【書評】

マンガ

公開日:2025/7/26

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 健康志向でも美味しいものが食べたい。そんな欲望を満たしてくれるグルメ漫画が『キレてるふたりの出張めし』(岩国ひろひと/KADOKAWA)だ。

 主人公の畑山ひろしは、全国を飛び回る32歳の営業マン。彼が教育係を務めるのが、筋トレ愛が止まらない新入社員・海原たまきだ。たまきは会議や商談にも筋トレの話題を持ち込むほどの熱量で、畑山は戸惑いながらも彼女を指導している。そんな奇妙なコンビが、出張先で各地の美味をひたすら堪能していく。福井の越前ガニ、沖縄のヤギ汁、京都の和菓子など、各地の名物料理を堪能しながら、仕事にも全力投球する姿が描かれる。

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 一般的なグルメ漫画と違うのは、たまきによる栄養に関する知識がふんだんに盛り込まれている点だ。たとえば居酒屋メニューの定番・カニミソには、老化防止や美肌に役立つ成分が詰まっているという。カニ肉も高タンパク・低脂質で筋トレ向きという話を聞くと、つい食べたくなってしまう。ご当地グルメの美味さだけでなく、体にうれしい効能があると紹介してくれる本作の魅力だ。旅先で外食が続くと、体重や栄養バランスが心配になるが、この作品を読めば少し安心できるだろう。

 さらに、たまきの予測不能な行動や、それに翻弄される畑山のやりとりもコミカルで心地よい。突然、筋トレを始めたり、筋トレ専門用語を真顔で語り出したりと自由奔放すぎて、つい吹き出してしまう。だが筋トレにも仕事にも、常に全力なたまきの姿勢には清々しさがあり、真っ直ぐさに好感が持てる。

 個性豊かなキャラクター、豊富すぎるグルメ情報、そして思わず笑ってしまう展開。そんな盛りだくさんの魅力が詰まった、一石三鳥の作品だ。旅先で読むのもよし、旅気分を味わいたい時にもぴったりな一作だ。出張や旅行の際には、2人が食べたご当地グルメを満喫してみてはいかがだろうか。

文=ネゴト / fumi

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