さまざまな物の価格が高騰する中、少しでも節約したいと考える人は多い。中でも食費は固定費を除けば大きな割合を占める支出の一つで、ここをうまく調整できると節約効果はとても大きい。そこで「自炊をしよう！」と考える人は多いが、慌ただしい日々の中で「めんどくさい」「イマイチ効果を実感できない」「おいしく作れない」などの不満が蓄積されてしまい、結局は続かないパターンを多く聞く。

『何度でもつくりたい幸せの味 ひとり暮らしのおうちごはん』（ひろ/新星出版社）は、そんな自炊を続けるハードルを解消してくれる、ちゃんと続けられる具体的かつ負担の少ない方法を伝授してくれるレシピ本。著者のひろさんは、「HIRO’S KITCHEN」として活動しているインスタグラマー。お盆に載せたおうちで作れる幸せごはんで人気を博し、フォロワーは2025年5月29日時点で6.5万人を超えている。

　本書の巻頭には、ひとり暮らしをする上で知っておきたい、自炊を続けていくために必要なアイテムや食材の切り方、揃えておきたい基本の調味料、作業効率をアップさせてくれる方法やおすすめ食材など、料理初心者がつまずきがちな部分を徹底的に解消してくれる知識や知恵が満載！

　また、レシピページも写真や図が豊富で分かりやすく、「焼き色がついたらってどういう感じ？」「◯◯切りってどんな切り方？」といった料理中に発生する困りごとや、手順による時間ロスをページ内で解消できる優しい仕様になっている。

　さらにレシピページが「まずはごはんにプラス一品レシピ」「これだけでOKの麺・どんぶりレシピ」「チャレンジ！一汁一菜レシピ」「ステップアップ！一汁二菜レシピ」と4つの章に分けられていて、自分の状態に合わせてチャレンジできるのも嬉しいポイント。筆者も、普段使いしたい「まずはごはんにプラス一品レシピ」から1品、少し余裕がある日の「チャレンジ！一汁一菜レシピ」からもう1品作ってみることにした。

「なすとピーマンと豚肉のケチャップみそ炒め」

　まずは、「ごはんにプラス一品レシピ」から「なすとピーマンと豚肉のケチャップみそ炒め」。中弱火で熱したフライパンで一口大に切った豚バラ肉を炒め、焼き色がついたらなすとピーマンを加えて炒めていく。野菜に豚バラ肉の脂が回ったら蓋をして3分弱火で蒸し焼きにし、ケチャップ、みそ、料理酒、みりんを加えて水分が飛ぶまで炒めれば完成！

　追加の油を使わず豚バラ肉の脂のみで仕上げることで、深みとコクをしっかりと感じられる一品に。みそとケチャップを主軸としたこってり味も相まって、野菜が多いおかずとは思えないほどの食べ応えを与えてくれることに驚いた。最近は油も値上がりしているため、節約にも繋がっていいこと尽くし！

「焼き油淋鶏、きのことベーコンの豆乳スープ、ごはん」

　続いて、「チャレンジ！一汁一菜レシピ」から「焼き油淋鶏」と「きのことベーコンの豆乳スープ」。出来立てを堪能するためにも、まずは「きのことベーコンの豆乳スープ」を作ってしまうのがおすすめ。鍋にバターを熱してしめじ、ベーコン、玉ねぎを炒め、豆乳、顆粒コンソメ、こしょうを加えて沸騰させないように加熱すれば完成。

　スープが完成したら、次は「焼き油淋鶏」。みじん切りにした長ねぎを醤油、酢、ごま油、砂糖、生姜、にんにくと混ぜて冷蔵庫で休ませておく。下処理をした鶏もも肉に料理酒、塩、こしょうをもみ込み、片栗粉をまぶして皮目を下にして揚げ焼きにする。焼き色がついたら上下を返して蒸し焼きにし、切り分けてお皿に盛り付ければ完成。最後にねぎだれをかける。

　鶏もも肉のジューシーさをギュッと閉じ込めた油淋鶏は、香ばしく揚げ焼きされた衣に甘酸っぱいたれが絡んで絶品！　サニーレタスで巻いて食べてもおいしかった。家で揚げ物をすることに抵抗のある人でも、揚げ焼きなら少量の油でできるためチャレンジしやすい。また、豆乳スープも野菜やベーコンの出汁が溶けて、コクのある味わいに。牛乳や生クリームではなく豆乳を使っていることで、重くなりすぎず合わせやすいのもありがたい。さらに時短・簡略化したい場合は、切った具材をまとめて耐熱容器に入れてレンチンし、そのあと鍋へ投入するとあっという間に完成する。

　レシピページに調理手順が一目で分かるチャート図がついていることで、全体の流れが視覚的にイメージしやすく、一連の作業が流れとして見えやすくなる。これなら、「簡単レシピのはずが気づいたら1時間以上料理していた」なんて時間ロスも減らせるのではなかろうか。おいしさはもちろん、分かりやすさにもとことんこだわったこの本で、自炊の基礎をマスターしおうちごはんを充実させてみては？

文＝月乃雫

◆新星出版社のライフマガジン『Fun-life!』
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