第25回「薫る花は凛と咲く」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本
公開日:2025/6/25

みなさんは普段どのようなジャンルの作品を読むことが多いでしょうか?
バトルものやミステリー系、ホラーなどなど。
様々なジャンルの作品が世の中にはありますよね。
きっとみなさんもお気に入りのジャンルがあると思うのですが、たまには違ったジャンルが読みたくなることもあると思うんです。
私自身も普段はスポーツものの作品を読むことが多いのですが、たまに別のジャンルの作品を読むと新たな発見があったり、すごく新鮮な気持ちで楽しむことができます。
今日ご紹介するのは、そんないろいろなジャンルの中でもかなりの人気を誇る「ラブコメ」の作品になっています。
タイトルは『薫る花は凛と咲く』です。
こちらの作品はTVアニメ化も決定しており、知ってるよという方も多いのではないでしょうか?
あらすじは、とある場所に隣接する、男子校・千鳥高校と、由緒正しきお嬢様校・桔梗女子のふたつの高校。
強面で物静かな千鳥高校の2年生である紬凛太郎は、実家のケーキ屋の手伝いの最中にお客さんとして来ていた少女・和栗薫子と出会う。
薫子との時間を心地よく感じる凛太郎だったが、彼女は隣接しながらも徹底して千鳥を嫌う桔梗女子の生徒だった。
そんな2人と個性豊かな登場人物が織りなす、青春彩る学園物語となっています。
この設定だけ聞くと、「ザ・王道」という感じがすると思います。
そして実際すごく王道だなと思う部分が多いのですが、その王道さがむしろこの作品の魅力になっているなと感じています。
例えば、王道ゆえに設定がシンプルでストーリーが頭に入ってきやすいというところ。
それから、ストーリーが王道だからこそ、それぞれのキャラクターの個性や心情により集中でき、深く愛着が持てるところがあると、個人的に感じました。
また、この作品の「多くを語らず、表情で語る」部分がすごく魅力的だと感じます。
この作品を読んでいて、表情が凄い…!と感じるシーンが極端に多いんです。
例えば、主人公である紬凛太郎が、薫子ちゃんとの秘密を守るために、お友達にずっと隠し事をしている場面があります。
凛太郎は仲のいい友人に隠し事をしていることにずっと罪悪感を感じていたのですが、そんな時に友人の1人である夏沢が凛太郎に対して「信頼してる」と初めて口にする場面があるんです。
その場面での凛太郎の表情が、今までの辛かった出来事が一気に報われたような、少し唖然としていて信じられなくて。でもすごくホッとしたような絶妙な表情で、うまく説明できないのですがそのシーンの表現がすごく素敵だなと感じました。
他にもここぞという場面で、グッと心を掴まれる表情をいろいろな登場人物が見せてくれます。
ぜひ漫画を読んで確かめていただけると嬉しいです。
冒頭でこちらの作品は「ラブコメ」であるとご紹介させていただいたのですが、私はこの作品の友情の描写がすごく好きだなと感じました。
一つの面だけを見てその人のことを決めつけるのではなく、いろいろな側面を自分の目でしっかり見て、自分自身で判断していくこと。
そういったことが描かれていたり、他にも人間関係を築いていく上で大切なことが沢山詰まっている作品だと感じます。
ぜひ皆さんも、この作品の温かさを読んで確かめてみていただけると嬉しいです。
