「子どもを可愛く思えない」夫と実家に頼れて、恵まれているのに… 育児に苦悩するママの漫画に、共感の声続出【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/6/25

 漫画家・あさのゆきこさんのブログで2022年から連載され、今年になってから書籍化されるなど、育児中のママを中心に評判を呼んでいる『これって虐待ですか 自己肯定感が低くて怒りを止められなかった私が息子と一緒に笑えるようになるまで』(あさのゆきこ/KADOKAWA)。

「私ってポンコツな母親だ…」と思うからこそ完璧を目指し、自分に自信が持てないまま、初めての子育てに苦戦する主人公のみずき。うまくいかない毎日にイライラして子どもに怒りをぶつける場面では、思わず目を覆うような描写も…。その一方で、あることをきっかけに子どもと向き合い、穏やかな毎日を取り戻そうとする姿に勇気をもらえます。創作漫画でありながら、自身も似たような経験をしたというあさのさんに、子育てのリアルな悩みについて聞きました。

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――ご自身の体験を元に創作を加えて本作を描いたそうですが、どんなきっかけで描き始めたのですか?

あさのゆきこさん(以下、あさの):私自身も漫画に出てくる主人公と同じように、夫が育休を取ってくれたり、自分の実家が近かったりして、けっこう頼れる人がいる環境なのに育児がしんどくて。こんなに恵まれているのになんでだろう…と1年ぐらいずっと悩んだことがあり、その時の気持ちを元に漫画を描こうと思いました。2人の子どもが0歳と2歳の頃が、すごくしんどかったですね。

――今はお子さんが大きくなり、7歳と5歳になったそうですね。子どもに罵声を飛ばす場面など、人には見せたくない部分だと思いますが、それを漫画にしようと思ったのはなぜですか?

あさの:自分と同じような人がきっといるんじゃないかと思ったので、漫画にしたら共感してくれるかなと。実際に反響がすごくて、「私もそうでした」とDMをいただくことがけっこうあります。

――主人公は「子どもを可愛く思えない」「家にふたりでいたくない」と発言しています。あさのさんにもそう思われることがありましたか?

あさの:ありました。0歳から2歳くらいまでの子どもって意思疎通ができないし、何をしたら喜んでくれるのかもわからないから、可愛いって思えない時があったんですよね。もちろん姿形は可愛いと思いますけど、それよりも「この子たちを守らなければ」という義務感のほうが強くて。今思い出しても、あの頃の育児はあんまり楽しくなかったなという記憶があります。

取材・文=吉田あき

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