「悩みを聞いてくれる人がいるのになんでこんなに苦しいんだろう」優しい夫の態度が、逆に自分を責める気持ちにつながった【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/6/28

 漫画家・あさのゆきこさんのブログで2022年から連載され、今年になってから書籍化されるなど、育児中のママを中心に評判を呼んでいる『これって虐待ですか 自己肯定感が低くて怒りを止められなかった私が息子と一緒に笑えるようになるまで』(あさのゆきこ/KADOKAWA)。

「私ってポンコツな母親だ…」と思うからこそ完璧を目指し、自分に自信が持てないまま、初めての子育てに苦戦する主人公のみずき。うまくいかない毎日にイライラして子どもに怒りをぶつける場面では、思わず目を覆うような描写も…。その一方で、あることをきっかけに子どもと向き合い、穏やかな毎日を取り戻そうとする姿に勇気をもらえます。創作漫画でありながら、自身も似たような経験をしたというあさのさんに、子育てのリアルな悩みについて聞きました。

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――初めての子育てに苦戦し、うまくいかない毎日に、どんどん調子が悪くなる主人公。周りを心配させたくなくて相談できずにいましたが、実姉に促されてようやく心療内科の門を叩きますね。

あさのゆきこさん(以下、あさの):私自身も子どもが生後4カ月くらいの時、夫に子どもを任せて心療内科にかかったことがありました。夜眠れないことがイヤで。心療内科が悩みを根本から取り除いてくれるわけではないと思うけど、とりあえず眠れるようになればいいや、と。この頃はもう母乳ではなくミルクだったので、薬を飲んでも大丈夫だと思い、心療内科で睡眠導入剤を処方してもらっていました。

――眠れないことのつらさを夫に相談することもありましたか?

あさの:主人公とは違い、私の夫は悩みを聞いてくれる人だったので、眠れないことも相談していました。でも、それが逆に「悩みを聞いてくれる人がいるのになんでこんなに苦しいんだろう」と自分を責める気持ちにつながりました。

――夫に打ち明けるだけでは解消されなかったんですね。

あさの:そうですね。結局それから1年か2年くらいは頻繁に通って、薬を処方してもらっていました。

――時には薬に頼って気持ちを落ち着かせることも必要なのかなと思いました。ただ、主人公は「メンヘラな母親なんてイヤ」「まともな母親になりたい」という理由で、主治医に「薬をやめたい」と申し出ていて…。

あさの:私も子どもが1歳くらいの時は、薬がなくてもちゃんとお母さんでいたいと思っていました。でも年齢を重ねるごとに、薬を飲むことで家族が平穏に保たれるのならまあいいや、と思えるようになってきました。

――主人公は主治医から「まだ薬は必要」と言われていました。あさのさんもやはり、自己判断で薬を減らしたりやめたりしないほうがいいと思いますか?

あさの:そう思います。私の知り合いが勝手に薬をやめてしまい、余計に落ち込んでいる姿を見たら、お医者さんの指示を守ったほうがいいんだなと思いました。減らすにしても、お医者さんにその意思を伝えつつ、相談しながら減らしていくのがいいと思います。

取材・文=吉田あき

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