「やっぱりあんたはダメねぇ」何気ない母からの言葉や行動に傷つく。母親が子どもに与える影響【著者インタビュー】
公開日:2025/7/1

漫画家・あさのゆきこさんのブログで2022年から連載され、今年になってから書籍化されるなど、育児中のママを中心に評判を呼んでいる『これって虐待ですか 自己肯定感が低くて怒りを止められなかった私が息子と一緒に笑えるようになるまで』(あさのゆきこ/KADOKAWA)。
「私ってポンコツな母親だ…」と思うからこそ完璧を目指し、自分に自信が持てないまま、初めての子育てに苦戦する主人公のみずき。うまくいかない毎日にイライラして子どもに怒りをぶつける場面では、思わず目を覆うような描写も…。その一方で、あることをきっかけに子どもと向き合い、穏やかな毎日を取り戻そうとする姿に勇気をもらえます。創作漫画でありながら、自身も似たような経験をしたというあさのさんに、子育てのリアルな悩みについて聞きました。
――母親から「抜けてる」と言われ、先回りされて育った主人公は、「自分でできる」という意思を尊重してもらえないことに傷ついていました。
あさのゆきこさん(以下、あさの):私も昔から喋るのが得意じゃなくて、大人から何か言われて口ごもっていたら、親が先に答えてしまうことがありました。ヤキモキする気持ちはわかるけど、先回りされるのはイヤでした。今、上の子が場面緘黙っぽくて、私も先回りしてしまうことがあり、いけないなと思っています。
――母親からの影響は大きいですよね。子育てをしていても、自分と母親を比べたりして。
あさの:本当に大きいと感じます。私の母は「あんなフリフリな服着ておかしいよね」と周りの人を批判するタイプで、それを聞いた私も「ああいう服を着るのはダメなんだ」と思っていました。私も同じような言葉が出てくる時があるので気をつけています。それと、母は完璧に掃除をするタイプでしたが、私はしんどいので真似していません。そうすると今度は、部屋をキレイにできない自分が情けなくなってしまう…。ただ、そんな母親も今は70代になり、最近は労る気持ちが出てきました。
――虐待までいかなくとも、些細なことで子どもにネガティブな影響を与えていると思うと、軽はずみなことはできないなと思います…。
あさの:本当に。漫画を描く時に毒親の体験談などいろいろ読みましたけど、どんな育て方でも「良くない」と言われる気がして、もう聖人君子にでもなればいいのかと…難しいですね。自分の中に子育ての理想はありますけど、理想通りにいかなくてもしょうがないって思います。
取材・文=吉田あき