「今すぐ顔 張り倒したい」子育てで思い悩む母親の頭をよぎる考え。そんな状態から子どもと穏やかに過ごせるようになるには?【著者インタビュー】
公開日:2025/7/2

漫画家・あさのゆきこさんのブログで2022年から連載され、今年になってから書籍化されるなど、育児中のママを中心に評判を呼んでいる『これって虐待ですか 自己肯定感が低くて怒りを止められなかった私が息子と一緒に笑えるようになるまで』(あさのゆきこ/KADOKAWA)。
「私ってポンコツな母親だ…」と思うからこそ完璧を目指し、自分に自信が持てないまま、初めての子育てに苦戦する主人公のみずき。うまくいかない毎日にイライラして子どもに怒りをぶつける場面では、思わず目を覆うような描写も…。その一方で、あることをきっかけに子どもと向き合い、穏やかな毎日を取り戻そうとする姿に勇気をもらえます。創作漫画でありながら、自身も似たような経験をしたというあさのさんに、子育てのリアルな悩みについて聞きました。
――自分は子育てに向いていないと思い悩む主人公は夫から「自分のことばかり考えている」と言われ、それから「子どものことをちゃんと見る」ようになります。この場面でハッとする読者も多いのではないでしょうか。
あさのゆきこさん(以下、あさの):すごくしんどかった時の日記に、「子どもの目線になったら子どもが納得してくれた」って書いてあったんです。子どもに何かを与えなきゃってずっと思っていたけど、子どもが好きなテレビ番組を一緒に見ながら「面白いね」って声をかけたら、それだけで嬉しそうにしていて。こんなふうに肩の力を落とした感じでもいいんだなと。
――それから子育ての苦悩はやわらいでいったのでしょうか?
あさの:そうですね。自分の気持ちを出すだけではなく、自分の目線を子どもの目線まで下げて、一緒に考えるようになって。そうしたら、もっと子どもの考えていることを知りたいと思えるようになりました。
――「呼びかけに返事をしない」と思ったら実はボーッとしているだけだったり、ご飯を食べないことも偏食があるだけだったり。小さい子って言葉が通じないだけに心配してしまうけど、そんなに気にしなければドーンと構えていられるのかなと思いました。
あさの:私もそういうことがいまだにありますね。子どもがグズついている時に、幼稚園で何かイヤなことがあったんだと思って。でも子どもに聞いてみたら、ただ給食がイヤなだけだった、とか。自分の思い込みで悩みを増やしていることがあるのかもしれません。
取材・文=吉田あき