子どもを怒鳴ってしまった時の深い後悔、いつかは忘れられる? 「子育てに向いてない」と傷ついている母親たちへのメッセージ【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/7/4

 漫画家・あさのゆきこさんのブログで2022年から連載され、今年になってから書籍化されるなど、育児中のママを中心に評判を呼んでいる『これって虐待ですか 自己肯定感が低くて怒りを止められなかった私が息子と一緒に笑えるようになるまで』(あさのゆきこ/KADOKAWA)。

「私ってポンコツな母親だ…」と思うからこそ完璧を目指し、自分に自信が持てないまま、初めての子育てに苦戦する主人公のみずき。うまくいかない毎日にイライラして子どもに怒りをぶつける場面では、思わず目を覆うような描写も…。その一方で、あることをきっかけに子どもと向き合い、穏やかな毎日を取り戻そうとする姿に勇気をもらえます。創作漫画でありながら、自身も似たような経験をしたというあさのさんに、子育てのリアルな悩みについて聞きました。

advertisement

――子どもが小さい時、育児の大変さから、子どもにきつい言葉を投げかけてしまう人は少なくないと思います。その深い後悔が、同じことを繰り返さないための重しになりながらも、いつまでも残っているのはつらいことです。この懺悔のような気持ちは、いつか薄れていくのでしょうか?

あさのゆきこさん(以下、あさの):私の場合、今はもう、その頃の記憶が薄れてきたような気がします。あの頃の自分は本当に気が立っていたなと今でも覚えていますけど、具体的に何を言ったのかは忘れているところがあって。子どもに対しても、その頃のネガティブな話をすることはないですね。「こんなに可愛かったんだよ」って言いながら、小さい時の写真を見せています。

――「育児ノイローゼ」と「育児うつ」の両方があったという主人公。何が違っていたら、彼女はその状況を避けられたと思いますか?

あさの:私自身もそうですが、「ひとりでまっとうに子育てができないのはなんでだろう」という気持ちがいちばん心を蝕んでいたんです。その一方で、助けを求めたら負けっていう気持ちもありました。だけど実際には、誰かの助けが必要だったんだと思います。当時の自分には「助けを求めることは恥ずかしいことではないよ」って伝えたいです。

――「子育てに向いてない」「子どもを可愛いと思えない」という人にメッセージをお願いします。

あさの:向いてないかもしれないけど、子どもは育てないといけないですよね。自己評価はとりあえず置いておいて、目の前にいる子どもの成長に目を向ければ、自分を責める方向にはいかず、気が紛れるかもしれません。お仕事をされている方は、お仕事のことを考えるのもいいと思います。

取材・文=吉田あき

あわせて読みたい