すべては大すきなお母さんのため…。“ありがとう”の気持ちに溢れたペンギン親子の毎日に涙する人が続出! 『ちゃんぺんとママぺんの平凡だけど幸せな日々』【書評】
公開日:2025/6/30

可愛すぎるペンギン親子にほっこりしつつ、ほろりと涙してしまう。それが『ちゃんぺんとママぺんの平凡だけど幸せな日々』(お腹すい汰/KADOKAWA)だ。8月20日(水)には、待望の2巻が発売される。
本作で描かれるのは、ペンギン親子「ちゃんぺん」「ママぺん」の日常だ。
ちゃんぺんはお仕事に励むママぺんのために、小さな体で精一杯お手伝いを頑張っている。海苔で「おかえり」と書いたお弁当をママぺんのために用意したり、一緒に見られなかった打ち上げ花火の動画を撮ったり…ママぺんへの一途で健気な行動に、毎度胸を打たれるのだ。
ちゃんぺんは小さな弟「ベビぺん」の世話にも余念がない。遠くに暮らすおばあちゃんや、仲良しの友達「くまぺん」との交流も微笑ましい。
ちゃんぺんがママぺんを思うように、ママぺんが息子たちを深く思いやる気持ちもまた、ページの隅々からひしひしと伝わってくる。息子たちの行動に必要以上に手を出さず、しかし心の中では汗をかきながらハラハラと見守っている姿が愛おしい。息子たちの成長を信じて寄り添い、時に涙し、喜び合う。そんな姿は、読む人の心にじんと沁み入るものがある。
本作は、作者自身の母親への感謝の気持ち、甥っ子や姪っ子を見て抱いた愛おしい気持ちを元に描かれたという。だからだろうか、どのお話からも家族の絆をとても強く感じるのだ。
単行本の描き下ろしでは、本編ではあまり触れられてこなかった単身赴任中の「パパぺん」も登場。ファンにはぜひチェックしてもらいたい。
本作は文字数が控えめで、セリフは少ない。その分、表情や雰囲気からキャラクターたちの気持ちを想像できるのが魅力だ。柔らかく描かれたイラストも、作品の優しい世界観にマッチしている。
静かなページの向こうから、確かなぬくもりが伝わる。忙しない毎日に心が疲れたとき、ふと手に取りたくなるような1冊だ。
文=ネゴト / fumi