元カノの影を抱えた猫耳家政夫と、1年間の“偽りの同居”。ツンデレ妖怪との恋が始まる?【書評】

マンガ

公開日:2025/7/28

 イケメンは尊い存在である。そこに猫耳が加われば、尊さはさらに増す。さらにはツンツンした態度を見せつつ、自分だけに甘えてきたら……夢のようではないだろうか。そんな猫耳クーデレイケメンにキュンとしたいなら、『猫又さんと不器用な恋』(まえば/KADOKAWA)を手にとってほしい。

 初雪が降り積もった土曜日の明け方、橋で凍えるイケメンに出会った日花里。「大切な物を失くした」と涙を流す彼は、2本の尻尾と猫耳を生やしており、自らを“猫又”だと名乗るのだった。謎多き猫又が心配で放っておけず、日花里は彼の探し物を手伝うことになる。いったんは別れを告げたものの、後日彼は「僕がお前の家政夫になってやる」と、日花里の家に押しかけてきた。こうしてOLの日花里と妖怪である猫又との、1年間限定の同居生活が幕を開けるのだ。

advertisement

 猫の妖怪である猫又は、人間の生活には不慣れである。その無防備な姿にはドキリとさせられる場面も多い。着物がはだけ、鍛え抜かれた上半身がちらりと見えるたび、つい視線が奪われる。過去の恋人への未練を抱える猫又に対し、日花里は恋心を封じようとするが、ナンパから助けられたり、まるで恋人のような振る舞いをされたりするうちに、その感情は少しずつ膨らんでいく。

 思わずアクスタにしたくなるほどの美貌に、ページをめくるたびにキュンとさせられっぱなしだ。一方通行だと思っていた日花里の想い。だが一緒に過ごすうちに猫又の気持ちにも変化が訪れて……? ツンデレで少しSっ気のある猫又と日花里の恋から目が離せない。

 過去の恋人への想いが深ければ深いほど、次の恋へ進むのは難しい。だが、それを乗り越えた先には、過去を超えるような感情が芽生えることもある。愛情深い猫又が、今後どのような想いを日花里に向けていくのか楽しみだ。そして、ツンとした態度の奥に秘めた深く重い愛情に、きっと心を打たれるであろう。

文=ネゴト / くるみ

あわせて読みたい