木下ゆーき「この絵本によってほんの少しでもみんなの子育てが楽になったらいいな」【インタビュー】
公開日:2025/7/9
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年7月号からの転載です。

元芸人である経歴を活かした、赤ちゃんのおむつ替えをする瞬間を面白おかしく表現した動画でバズり、人気の“子育てインフルエンサー”になった木下ゆーきさん。子育てに四苦八苦する大人たちをクスッとさせる投稿には、絶大な支持が寄せられている。そんな木下さんによる、絵本シリーズが創刊された。
「絵本を書きませんか、とお話をいただいたときは素直に嬉しかったです。我が家にも絵本がたくさんありますし、もちろん、子どもたちは絵本が大好きですから。絵本を作るのは初めてなので、子どもたちに喜んでもらえるものができるか不安もありましたけど、それ以上に、未知への挑戦に対するワクワクで一杯でした」
「木下ゆーきのわくわく絵本」と題したシリーズ1巻目のタイトルは『はぶらしロケット』。“子どもの歯磨き”をテーマにした作品だ。
「担当編集者さんもイラストレーターさんも、みんな子育てをしている人たちばかりなんです。そこで、子育てにおける大変なシーンを出し合ったところ、“歯磨き”という意見が多かった。子どもって歯磨きを嫌がるんですよ。でも、親としては絶対に磨きたい。だから、無理やり押さえつけて、口を開かせてって……半ばプロレス状態になるんです。そんな大変なシーンをテーマにしつつも、この絵本によってほんの少しでも歯磨きが楽になったらいいな、という願いを込めています」
作中で描かれるのは、ロケットになった歯ブラシが子どもの口のなかに住む“バイキンせいじん”たちをやっつけていく様子だ。とてもユーモラスなイラストと相まって、読むだけで思わずニンマリしてしまう。
「歯ブラシをロケットに見立てる方法は、実際に子どもと歯磨きで格闘していたときに思いついたアイデアだったんです。歯ブラシをプシューッと打ち上げると、子どもは喜んで口を開けて、どうにか歯ブラシを口のなかに入れようとする。それでうまく歯磨きができるようになったことから、その子育てハックを絵本に落とし込みました。子どもって面白みのない作業を嫌がるので、“はぶらしロケット”のようにゲームに変換してあげることがコツなんですよ」
同シリーズ作品の刊行は今後も続く。子育てにまつわるお悩みを楽しく乗り越えられるように、木下さん流のアイデアを盛り込んでいく予定だ。
ちなみに、それ以外のビジョンを聞いてみると、思いも寄らない答えが返ってきた。
「5年後、10年後のことってまったく思い描いていないんです。そもそもこうしてインフルエンサーとして活動していくとも想像していませんでしたし、大勢にフォローされるようになってからも数字を意識することもなくて。もちろん、応援してくださっている方々には感謝していますが、ひたすら自分が面白いと感じることをやっているだけなんですよね。ただ、強いて言うなら、妻とふたりでゆっくりランチするのが直近の夢です。シングルファザーとして妻と出会い、結婚したので、ふたりだけの時間がほとんどなかった。でも、一番下の子も幼稚園に入ったので、やっと時間が取れそうで。子連れでは行けないようなお店で、妻とゆっくりご飯が食べたいです。あ、ここは太字でお願いしますね!」
取材・文=イガラシダイ、写真=島津美紗
きのした・ゆーき●1989年生まれ。タレント、子育てインフルエンサー。おむつ替え動画や子育てモノマネ動画で人気を集め、SNSの総フォロワー数は200万人を突破する。主に子育て世代からの信頼を集め、メディア出演も多数。著書に『#ほどほど育児 失敗したっていいじゃない』『世界一楽しい子育てアイデア大全』がある。
木下ゆーきさんの作品

みんなのおうちにある歯ブラシは、実は“ロケット”だった!? 今日もロケットは子どものお口を目指して出発。辿り着いたそこには“バイキンせいじん”たちがいて——。子どもの歯磨きを成功させるアイデア満載の絵本が登場!