イカレたハイテンションギャグのガトリングガン。「次マン」ノミネート の話題作『きゃたぴランド』【書評】
PR 公開日:2025/6/27

『きゃたぴランド』(きゃた/GANMA!)は、Web漫画家として知られるきゃた氏がSNS上で発表していた連作4コママンガ『新卒の日常』をマンガアプリ「GANMA!」で連載作品として再構築したものである。
著者にとって初の商業連載作品となる本作は、新入社員の主人公「新卒ちゃん」を中心に、破天荒 なキャラクターたちが会社内外でハチャメチャな騒動を巻き起こしていく内容のギャグマンガだ。かわいらしいデフォルメ絵柄のキャラクターデザインや、「会社」「社会人」といった題材から、一見するとお仕事モノ要素を取り入れたホンワカ日常系コメディのように思えるかもしれないが、読んでみればその印象は大きく裏切られることになるだろう。

津波のように押し寄せるネタの数々
本作は一定のキャラクターに焦点を当て続ける連作形式でありながら、キャラクター同士の人間的な交流はほとんど描かれない。むしろ、そういったギャグを停滞させかねない「ヌルさ」を徹底的に排除し、純粋なギャグ要素のみで作品を構成しようというストイックな姿勢は、ある種の爽快さすら感じさせる。まさにハードコアなギャグマンガなのだ。

登場人物全員がハイテンションでボケ倒し、ツッコミを挟む間すら惜しむように詰め込みまくることで生み出された異常なテンポ感。お約束的なセリフや、あるあるシチュエーションを提示しながらも、その言葉尻を掴んで明後日の方向へと投げ飛ばし、バイオレンスなオチへと着地させるその様は、たとえる なら会話のキャッチボールならぬ、会話のビーンボール。こんなの、勢いで押し切ってるだけだろ!と反抗しつつも、結局はその激しさから生まれる、抗いがたい魅力に笑ってしまう。

2025年8月4日には最新単行本である第2巻が発売されるが、単行本化されるにあたり、紙書籍版(KADOKAWA)はなんと紙面がオールカラー化されているのだ。これによってWeb掲載版の既読者であっても、新鮮な気持ちで再読できるのがうれしいところ。
また、本作はTikTokやYouTubeなどの動画プラットフォームでショートアニメ化もされている。マンガ版とは異なる魅力を持った作品として完成しているので、こちらもファンは必見だろう。各種最新情報は、『きゃたぴランド』公式X(旧Twitter)で確認してほしい。
文=一ノ瀬謹和