私たちを苦しめているのは「無意識の思い込み」? 脳科学や心理学のメソッドで解説する、自分らしく生きるための指南書
公開日:2025/7/3

「自分を好きになれない…」「人間関係がうまくいかない…」「人生が全然思い通りにいかない…」など、人それぞれネガティブな気持ちになることもあるだろう。その原因や理由が具体的に説明されている本書では、「無意識」をキーワードとして、「無意識」を知り、整え、理解し、思考のゆがみを解消していくことができる。
本書『私は私を幸せにできる 脳が作り出す「無意識の思い込み」にさよなら』(KADOKAWA)著者の、マインドトレーナーである田中よしこ氏は、個人セッションやセミナーなどを中心に潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。著者自身も生きづらさを抱え、本当の自分と向き合った30年間の経験をベースに、心理学、脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。現在まで約7500人以上の「本当の自分らしさ」を手に入れるサポートをしている。
本書では「無意識」が人生に与えている影響を学ぶことができる。著者に実際に相談しに来た人々の経験談や、そのネガティブな気持ちや悩みがどのように変わっていったか、具体的な事例をもとに解説されているため、読んだ人誰もが共感して自分に当てはめて考えることができるような、実践的な内容となっている。
例えばChapter1では、痩せたいのに食べてしまうことや、整形を繰り返してしまうことへのカウンセリング記述がある。

脳の働きから体内で分泌される物質、そして無意識の中の答えまで読み進めると、カウンセリング内容と読者の悩みは違っても、人間の本質的な部分を見ているようで自分に当てはめやすいのではないだろうか。

また、『無意識』の領域や行動のクセ、幸せの定義など順序だてたイラスト図解が入り理解が深まる内容となっている。

無意識の中の思い込みや自分では気づかない罪悪感、本質的な幸せなどの具体的な説明後、著者は「自己効力感」を高めることを勧めている。自己肯定感を育むために啓発本を読んだが、挫折する人は少なくないようだ。

またトピックごとに散りばめられた「ご自愛MEMO」の言葉がなんとも温かいのでチェックしていただきたい。


そして、本書にはワークシートが付いている。実際に手を動かして考えることで、モヤモヤしてなかなか言語化できなかったことや、単純だけど気付かなかったこと、盲点だったこと、沢山の気付きと出会えるだろう。

私たちを縛り付ける「無意識」の正体を知り、気持ちの持ち方や考え方を学び、自分を幸せにできることをぜひ体感してほしい。
悩む事で疲れてしまった人や行き詰まっている人、そして自分を幸せにしたい人に手にとってもらいたい一冊である。
文=中川澄江