寿司屋の大将がカウンター越しにさばくのは、でかいドーナツ…?予測不能の展開とシュールなギャグが中毒性抜群【漫画家インタビュー】

マンガ

更新日:2025/7/7

 最新の書籍や人気の漫画作品の情報を発信する「ダ・ヴィンチWeb」。今SNSを中心に話題を集めているホットな漫画を、作者へのインタビューを交えて紹介する。

 取り上げるのは、ギャグ漫画家・チョモランマ服部さん(@Chomolungma_H)の『寿司というお題で100本漫画描く』。「寿司100」と呼ばれているこちらの漫画、舞台はカウンター越しの高級寿司店。なのに、寿司は出てこず謎のキャラクターや突飛な展開ばかり!

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 X(旧Twitter)に投稿された作品は毎回数多くの「いいね」がつき、中には「いいね」が3.7万件を超える投稿もある。多くの読者が「クセになる」と注目する話題作だ。

 寿司屋という日本人には馴染み深い場所を舞台に、100本のギャグ漫画を描き上げるという壮大な(?)挑戦を続けているチョモランマ服部さん。(※2025年6月現在 48本)また、寿司100から派生して、すしーズ(@sushiloveloves)という漫画アカウントも誕生している。

 独特すぎるギャグとキャラクターがどうやって生まれているのか? 「寿司屋って、何を握ってるかわからないところがギャグ向き」と語る作者に、創作の裏側をじっくり聞いた。 

「ツッコミ優先で考えます」ギャグの“フリ”はカウンターの奥で生まれる

――「寿司屋が舞台のギャグ漫画だったら無限に描ける気がする」というのが、本作を描き始めたきっかけとのことですが、なぜそう感じたのでしょうか?

 お寿司がすごく好きってわけではないんですけど、お笑いのコントで「寿司屋」が舞台になってると、なんかワクワクするんですよね。

 回らないお寿司屋さんのカウンターって、大将の手元が見えないじゃないですか、あそこに無限の可能性を感じていて……。お笑いの“フリ”の部分を隠せるというか。「トロ握りますね」って言って、しばらくしてバースデーケーキが出てきてもおかしくないでしょ?(いや、おかしいけど)

 その「フリを隠せる」ところが、ギャグ漫画を描きやすい設定だと思ったので100本描けるか試してみようと始めました。

――描くうえでこだわっているポイントを教えてください。

「寿司」ってテーマなのに、全然寿司が出てこなかったり、変なキャラがどんどん出てくるところです。あと、微妙に話がつながっていたりするので、通しで読んでもらうと面白さが増します。

――特にお気に入りのシーンやセリフはありますか?

 一番は「スッシィ」という謎生物が出てくるところです。あとは「ニセ大将」という、偽物の大将が店を占拠しているところとか。でかいドーナツをさばくシーンも好きですね。……自分でも何を言ってるのかわからなくなってきた(笑)。

――毎回驚きの展開ですが、どんなときにネタが思いつきますか?

 ボケは毎回毛色の違うものにしようと心がけているんですが……やっぱり簡単にネタが降りてくるわけではないです。ツッコミ優先で考えて、ボケを当てはめていくことが多いですね。あとはお寿司屋さんあるあるから頂戴したり。

 カフェで3時間くらい真っ白なノートを見つめながら考えています。何も出てこなくて、普通にコーヒーを飲んで帰っちゃうときが多いですが。

――ユニークなキャラクターがどんどん登場しますが、キャラクターの造形はどのように決めていますか? 個人的には「わんむしぃ」が好きです!

「スッシィ」は最初エビのお寿司のバケモノにしようと考えていたんです。酢飯の部分を白い毛皮にできないかな?と思って熊みたいにして、そこにパペット風の口を足して……という感じで、いろいろ詰め込んでいます。

 性格は一貫して「お寿司大好き」で愛おしい性格にしてます。「わんむしぃ」は僕も気に入っています。何を考えているかわからない顔とか。

――印象的だった反響はありますか?

 ファンアートや、グッズを買ってくれる人が意外と多くてビックリしました。元々は自分のライフワークとして、気軽にやってただけなんですけどね。こうやって取材されること自体も驚きです。本当に人生って、何が起こるかわかりませんね。

 見てくれる人がいるから、ネタ切れしないように頑張ります。寿司だけに!

――今後の展望を教えてください。

 数ある漫画の中から時間を割いて読んでくださってる方に、クスッと笑える時間を届けられたら嬉しいです。『寿司100』をきっかけに、他の漫画も読んでもらえたら最高ですね。

――最後に読者へのメッセージをお願いします!

 えんがわをください!

取材・文=ネゴト /いなり

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