免許返納・妊婦への一言…リアルな“老害”エピソードを盛り込んだ漫画『わたしの親が老害なんて』【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/7/17

店員に理不尽に詰め寄る高齢者が自分の身内だったらどうする? 年を重ねて変わっていく親子関係について描いた西野みや子さんの『わたしの親が老害なんて』
店員に理不尽に詰め寄る高齢者が自分の身内だったらどうする? 年を重ねて変わっていく親子関係について描いた西野みや子さんの『わたしの親が老害なんて』

 周囲の視線を気にせず怒鳴り散らす、こちらの話を聞かずに古い価値観を押し付ける……。いわゆる“老害”に自分の親がなってしまったら? 自分を育ててくれた大切な両親だったはずなのに、二人の行動を恥ずかしく感じてしまう。しかしこれまでの恩があるから見捨てることもできない。そんな葛藤を感じ、さらには里帰り出産に帰省した娘と両親の板挟みに苦しむ栄子(54歳)の姿を描いたのが『わたしの親が老害なんて』(西野みや子/KADOKAWA)。彼女の気持ちには年老いた親を持つ方なら多かれ少なかれ共感する部分があるのではないでしょうか。セミフィクションである本作を著者である西野みや子さんはどう描いていったのか? 自身の経験を含めお話を伺いました。

――本作の主人公・栄子は両親が健在で、もうすぐ孫が生まれる設定です。西野さん自身は小さいお子さんがいらっしゃるということで、ご自身の立場からするとかなり先のお話に思えるのですが取材などをされたのでしょうか?

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西野みや子(以下、西野):私は祖父母の家の近くに住んでいて、余裕があった時期はご飯を作りに行ったりしていたんです。そこで祖父が免許を返納するかどうかという問題に直面もしました。栄子の娘である美咲が里帰りしてくるエピソードは私自身が妊婦だった時に母や親族の近くにいたので、娘視点で経験しました。だから主人公と世代は違うのですが、そこまで遠いテーマというわけでもなくて。エピソードにも私が体験したことが入っています。

――一方でセミフィクションということですべてが実体験ではないですよね。創作の部分はどう作っていきましたか?

西野:担当編集さんとはかなりお話ししました。美咲の妊娠出産に関するエピソードは先ほども話したように私の体験が多いのですが、それ以外は編集さんに話を聞いて作っていた部分が結構あります。作中の中盤で親との関係に悩む主人公に夫が引っ越しを提案してくれるのですが、それは編集さんのお話から考えたものです。私自身は狭い田舎社会でそこを離れるということをあまり考えたことがなかったので目から鱗でした。

――担当編集さん以外にも、体験談を聞いたり、アドバイスを求めたりした方はいらっしゃいますか?

西野:友人にも「母親になるにあたって見た目のことで親や親族から何か言われたことない?」など質問してまわりました。実は私自身セミフィクションが初めてで。まだまだ引き出しが足りず、自分が体験してきたことしかリアルに描けないなと感じたんです。だから他の人のエピソードを聞いて、出せる範囲の引き出しを出しまくって(笑)、描きました。

取材・文=原智香

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