私たちが老害にならないためには? 大切なのは理解と距離感【著者インタビュー】
公開日:2025/7/24

周囲の視線を気にせず怒鳴り散らす、こちらの話を聞かずに古い価値観を押し付ける……。いわゆる“老害”に自分の親がなってしまったら? 自分を育ててくれた大切な両親だったはずなのに、二人の行動を恥ずかしく感じてしまう。しかしこれまでの恩があるから見捨てることもできない。そんな葛藤を感じ、さらには里帰り出産に帰省した娘と両親の板挟みに苦しむ栄子(54歳)の姿を描いたのが『わたしの親が老害なんて』(西野みや子/KADOKAWA)。彼女の気持ちには年老いた親を持つ方なら多かれ少なかれ共感する部分があるのではないでしょうか。セミフィクションである本作を著者である西野みや子さんはどう描いていったのか? 自身の経験を含めお話を伺いました。
――これから私たちも歳を取るわけですが、どうしたら老害にならずにいられるでしょうか?
西野みや子(以下、西野):私、子どもにつけるハーネスを作る活動をしていたことがあるんですが、ハーネスってお年寄り世代は否定的な方が多いんですよね。昔からあるものではないし、ペットのリードに見えるとか。でもなぜ必要なのか説明すると、理解してくれる方もいるんです。そういうまず話を聞く、新しいものを理解しようとする姿勢が大切なのかなと思います。
イギリスの作家の言葉で「35歳以降に出会ったものはなかなか受け入れがたい」というのがあって。確かに若い頃に出会ったものってすんなり自分に定着していくことが多かったけど、歳を重ねてから出会うものって抵抗を感じたりするものだと思うんですでも自分が今まで知っていたものと関わったりすると急にすとんと入ってきたりして。
――私もアラフォーなのでそれを実感しています。否定から入らないことが大切なんですね。
西野:例えば海外に行って、海外の文化をおかしいなと感じても「そういうものなんだな」くらいで否定しようとは思わないですよね。そのくらいのフラットな感じというか、別にすべてを良いと思わなくていいけど、否定はしない。そのくらいの距離感が大切なのかなとこの作品を描いていて感じました。
取材・文=原智香