「父親の怒鳴り声やドアを開ける音が怖かった」恐怖で子どもを縛り付ける父ががんになった。毒親の介護をしなければいけなくなったら…【著者インタビュー】

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公開日:2025/7/17

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※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

 小さい頃から自分を罵倒し暴力を振るってきた父が、がんで余命1年と宣告された。一人娘・ヒトミはなるべく父と関わらずにいられるように介護サービスを検討、実行に移す。しかし父は他者の介入を拒絶。頼れる親族もいないヒトミに全ての負担がのしかかる。相変わらず心無い言葉を浴びせる父。育児と仕事にも影響が出るほどの物理的負担。やがてヒトミには“介護うつ”の症状が出始めて……。

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 毒親、介護、ふたつの要素が絡み合う『余命300日の毒親』(枇杷かな子:著、太田差惠子:監修/KADOKAWA)。自身も親の介護中に描いたという著者の枇杷かな子さん。ご自身も“介護うつ”になったという枇杷さんの介護の経験、多忙な中でも本作を通して伝えたかったことを聞きました。

――お父さんのキャラクターというか人物像について、「こう描こう」と決めていたことはありますか?

枇杷かな子さん(以下、枇杷):毒親と一言で言ってもいろいろなタイプがあると思うのですが、本作では恐怖で縛り付けてしまう人を描こうと思っていました。これは私自身も父親に恐怖を感じていたからで。大人になっても父親の怒鳴り声とかドアを開ける音が怖いんです。父の好きな面ももちろんあるのですが、恐怖で縛られているというのは子どもの頃から大人になっても変わらなくて。だから「恐怖で子どもを縛り付ける親」というイメージで描きました。

――ご自身の経験がベースになっているんですね。セミフィクションにするにあたって参考にしたものはありますか?

枇杷:プロットという、物語の大筋を固めた段階で、ジャーナリストの著者の石川結貴先生に取材に伺いました。石川先生は『毒親介護』という新書を書かれた方です。といっても介護の渦中だったので、私の悩み相談みたいになってしまったのですが……。先生の本は“親を捨てる”というところまで言及されていたんです。その当時の私はまさに親を捨てたい、でも捨てられない、という気持ちだったのでそれを話したら「そういう人が大体よ」というようなことを言ってくださって。涙が出てしまいましたね。でもそういった自分以外の毒親を介護している方の気持ちを知ることができたのは作品にとっても、すごくよかったと思います。

――お父さんのヒトミに対しての言葉はすごくグサッとくるものが多かったのですが、これも実体験からきているのですか?

枇杷:これは私が直接父から言われたのではなく、母に対する言葉が多いですね。作中にも度々出てくる「女なのに」「女のくせに」みたいな言葉を父が母に対して言っているのを子どもの頃から聞いていました。確かにお父さんの言葉はあえてキツい言葉を使っているのですが、例えば顔の特徴とか、読んだ人が傷つく言葉は使わないようにしようというのは心がけました。

文・取材=原智香

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