夫がいても、子どもがいても介護は孤独… 優しさから耐えて孤立してしまう介護者たち【著者インタビュー】

マンガ

更新日:2025/7/19

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※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

 小さい頃から自分を罵倒し暴力を振るってきた父が、がんで余命1年と宣告された。一人娘・ヒトミはなるべく父と関わらずにいられるように介護サービスを検討、実行に移す。しかし父は他者の介入を拒絶。頼れる親族もいないヒトミに全ての負担がのしかかる。相変わらず心無い言葉を浴びせる父。育児と仕事にも影響が出るほどの物理的負担。やがてヒトミには“介護うつ”の症状が出始めて……。

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 毒親、介護、ふたつの要素が絡み合う『余命300日の毒親』(枇杷かな子:著、太田差惠子:監修・解説/KADOKAWA)。自身も親の介護中に描いたという著者の枇杷かな子さん。ご自身も“介護うつ”になったという枇杷さんの介護の経験、多忙な中でも本作を通して伝えたかったことを聞きました。

――枇杷さん自身も介護経験があるということで、主人公のヒトミはやっぱりご自身がモデルですか?

枇杷かな子さん(以下、枇杷):私自身を参考にしたこともありますが、でも私がヒトミだったらもう途中で耐えられなくなっていると思います。ヒトミは優しくて、耐えてしまう人というイメージで描きました。そんなに優しくて忍耐強い人でも、「お父さんのことを傷つけたい、ひどい目にあってほしい」と思ってしまうんだよというのを描きたかったので。それに耐えすぎてしまうからこそ、思い詰めてしまう人も多いと思うんですよね。

――ご自身じゃない部分を書く時に参考にしたものはありますか?

枇杷:そう言われると難しいですね……。ヒトミほど優しくないと言いつつ、私も耐えて思い詰めてしまったところがあるので、自分をデフォルメしたようなキャラクターなのかもしれないです。

 ただ、体験記事を読んだりはしました。介護の話って、なかなか友人とかに相談できなかったりするので、匿名の掲示板やSNSには結構声が集まっていて。そういった話を直接描くわけではないですが、ニュアンスとして参考にしたりはしました

――体験記事を参考にされたんですね。

枇杷:はい。あと本書のテーマのひとつに“孤独”というのがあって。子どもがいても、夫がいても、介護って孤独なんですよね。介護の話って話しづらい上に、経験したことがない友人とかには言っても仕方ない部分もあるし。優しいから耐えてしまう人……耐えてしまうから孤独になってしまう人ということも描けるようにヒトミという人を描いていきました。

文・取材=原智香

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