介護ヘルパーを勝手に帰してしまう父。親が介護を拒否する時はどうしたらいい?【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/7/25

yomei300nichi_dokuoya_6_0

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

 小さい頃から自分を罵倒し暴力を振るってきた父が、がんで余命1年と宣告された。一人娘・ヒトミはなるべく父と関わらずにいられるように介護サービスを検討、実行に移す。しかし父は他者の介入を拒絶。頼れる親族もいないヒトミに全ての負担がのしかかる。相変わらず心無い言葉を浴びせる父。育児と仕事にも影響が出るほどの物理的負担。やがてヒトミには“介護うつ”の症状が出始めて……。

advertisement

 毒親、介護、ふたつの要素が絡み合う『余命300日の毒親』(枇杷かな子:著、太田差惠子:監修・解説/KADOKAWA)。自身も親の介護中に描いたという著者の枇杷かな子さん。ご自身も“介護うつ”になったという枇杷さんの介護の経験、多忙な中でも本作を通して伝えたかったことを聞きました。

――ヒトミが、ヘルパーさんを勝手に断った父に憤りつつも、ひとり暮らしの父親の家のトイレを掃除して帰る。というシーンが印象的でした。この描写はどのようにして生まれたのでしょうか?

枇杷かな子さん(以下、枇杷):うちの場合は両親どちらもヘルパーさんを断ってしまって。そもそもヘルパーさんがお家に来たということは、その前にケアマネさんと相談しあい、日程の調整をして……と、こちらとしては既にすごい時間と労力がかかっているんです。それを断られるのも辛いし、さらにうちの場合は複雑で、親が自分の兄妹にも頻繁に頼み事をしておりました。それは決して悪いことではないですし残り少ない時間を気のおけない兄妹と過ごしたい気持ちや甘えやすいこともわかります。無理ない範囲ならありがたいと思うのですが頻繁ですと呼ばれる人が疲れてしまう。申し訳ないですし、「じゃあ娘の私がやらないと」という考えに私はなってしまいました。元々ヘルパーさんを頼もうとしたものも家族の負担になってしまうし、今の状況で親自身は間に合っていると感じてしまい当時はかなり深刻に悩みました。

――ヘルパーを断ったのは親のほうなのに、トイレ掃除をして帰ってしまう、というのは優しさや真面目さからの行動なんでしょうか?

枇杷:私の場合は一人っ子だったのでなおさらかもしれないんですが、自分がキーパーソンで、責任をとるのは全て私なんだという意識だったんですよね。だからやりたくないけどやらなきゃいけないのかなと思ってしまうんです。ヒトミの場合は恐怖もあるけど、やっぱり親を放っておけない気持ちなのかな。憎たらしい親でも、汚いままの家で暮らしていくというのが頭の隅にあったら放っておけないんだと思います。

――「せっかく頼んだヘルパーさんを断られた」というのは今まさに悩んでいる方もいらっしゃると思うのですが、振り返ってみて「こうすればよかった」と思うことはありますか?

枇杷:ヒトミは父親と話をしなかったんですよね。関わりたくないから、本音を言わなかった。私の場合は早めに親に言ったんです。ヘルパーさんを頼んだりして工夫しないと私が精神的に持たないと思うと伝えました。それで全て解決するわけではないとしても、「自分がどうしたいのか」を早めに伝えて第三者をまじえて話し合ったほうがいいと思います。

文・取材=原智香

あわせて読みたい