魔法少女×恐怖心!? TXQ FICTION第3弾『魔法少女山田』がいざなう予測不能な世界【鼎談】大森時生×背筋×梨

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公開日:2025/7/14

■「TXQ FICTION」は、ウェルメイドなフェイクドキュメンタリーを作れる場

――「TXQ FICTION」という番組枠は、大森さんにとってどういった場なのでしょうか。

大森:フェイクドキュメンタリーをここまでの強度でやりきれる場所は、なかなかありません。それなりの時間と手間をかけて、ウェルメイドなフェイクドキュメンタリーを作れる場が「TXQ FICTION」なので、今後もどんどん回を重ね、行けるところまで行きたいですね。

──梨さんと背筋さんは、過去2作はご覧になっていますか?

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梨:もちろんです。個人的にすごいなと思ったのは、「TXQ FICTION」をレーベル化しているところ。『恐怖心展』もそうですが、一からアカウントを作って周知するのってすごく大変なんですよね。前回の『行方不明展』があっても、今回はまたゼロイチで立ち上げなければならなくて。でも、「TXQ FICTION」はこの枠組み自体に固定ファンがついています。しかも、この枠でできることは意外とジャンルレス。フェイクドキュメンタリーという手法しか縛りがないので、魔法少女ものもできれば家族ホラーもできます。そういう遊び場としての拡張性がうらやましいですね。まだ第2弾ですが、すでにあのジングルを聞くとうおーっとなります。

背筋:わかります。あのジングル、いいですよね。

大森:僕はテレビっ子だったので、ジングルへのあこがれがあったんです。最近のテレビ番組は視聴率に対してシビアで、変な話、できる限り視聴者にバレないように次の番組に移行しているのではないかと。オープニングで音が流れるとザッピングチャンスが生まれてしまい、視聴率的には損なんですよね。特にゴールデンタイムの番組は、ジングルが流れない傾向があります。でも、個人的には音と記憶が密接に結びついているんです。やっぱり『世にも奇妙な物語』のあのオープニングを聞くとワクワクするじゃないですか。

背筋:「TXQ FICTION」も、オープニングの音楽を聞いた時点で「あ、あの番組が始まる」とすでにインプットされていますよね。2回でそれに成功しているのは、なかなか類を見ないことだと思います。「行けるとこまで行きたい」と言ってくれたのもうれしいです。

大森:DVD BOXの発売を目指したいです。

梨:ウォッチパーティーをやりたいですよね。みんなで一緒に観たい。

――7月16日には、番組第1弾を小説にした書籍『イシナガキクエを探しています』(福井 鶴、寺内康太郎:原作、夜馬裕:著/KADOKAWA)も発売されますね。

大森:ありがたいことに、書籍にしていただきました。『イシナガキクエを探しています』は公開捜索番組という設定だったので、余白が多かったんですよね。新たに判明した事実もこの本で補完しているので、番組本編をご覧になった方のほうが楽しめると思います。贅沢なことに、番組を観られる二次元コードがついているので、ぜひ映像と両方楽しんでいただきたいです。

取材・文=野本由起 写真=島津美紗

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