落ち込んだり、悩んだりしたら「手洗い」が効果的!? 気持ちをリセットして、前向きになれる驚きの理由【書評】
PR 公開日:2025/7/23

嫌なことがあったとき、気づけばベッドに寝転がってゴロゴロ。スマホをいじりながらため息をついて、ただ時間だけが過ぎていく──。そんな経験は誰にでもあるはずだ。
「何か楽しいことをしよう」と思っても、重たい気持ちが足を引っ張って動き出せない……。だが、そんな“動けない”自分を責める必要はない。実は、ちょっとした行動で気持ちは切り替えられるのだ。
そのことを教えてくれるのが、心理学者・内藤誼人さんによる一冊『くよくよしたら手を洗おう。』(主婦の友社)だ。
手を洗うだけで「不快」や「後悔」がリセットされる?
タイトルにある「手を洗う」という行為。実はこれ、単なる衛生習慣にとどまらず、心理的な“リセット”にもつながるということが、本書ではエビデンスとともに紹介されている。
米国コロンビア大学のイヤール・カランスロフによる実験では、学生たちに「過去に犯した悪事や不道徳な行い」を書かせて罪悪感を引き出したあと、半数に手を洗わせたところ、手を洗ったグループの方が「不快さ」「後悔」「恥」の感情スコアが有意に低下。物理的な“清め”が、心の浄化にもつながることが示されたという。
科学的に裏づけられた「心が晴れる行動」
本書ではこの「手を洗う」以外にも、日常生活のなかで気軽にできる“ちょっとした行動”が、しっかりとしたエビデンスとともに紹介されている。例を挙げると以下のようなものだ。
・楽しかった思い出に浸る
うつ病の治療にも使われる「ライフレビュー療法」に通じる方法で、前向きさや幸福感を高めてくれる
・元気な人を見る
心理学でいう“感染効果”によるもので、自分も元気が出てくる。本書では「松岡修造さんの動画を見るだけでもOK」とのアドバイスも
・コンビニ募金や献血をしてみる
「人のためにお金を使った人ほど、人生に満足している」という研究結果がある
・アートに触れる
美術館で過ごすだけで、ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌が減少するという研究結果もある
・明るい色の服を着る
それだけで自分もポジティブになり、他人からも「親しみやすい人」と見られるようになる
これらの行動に共通するのは、「ほんの少しの工夫で心が晴れる」ということ。気合や根性に頼らず、日常のなかで実践できる“気分転換のレシピ”が、本書には数多く詰まっているのだ。
「大きなご褒美」より「こまめな気分転換」
著者は序文でこう述べている。
大きなご褒美のために我慢を重ねるより、日常生活のなかでこまめにくよくよ、イライラを解消していくほうが、ずっと効果的なのです。
これはまさに「ネガティブな気分を引きずりがちな人」には金言だろう。何か難しいこと、重い腰を上げないとできないことをするよりも、身近な行動で「目の前のくよくよ」を解消していったほうが、心の健やかさを保ちやすいのだ。
「どうせ何をやっても変わらない」と思ったときこそ、この本を開いてみてほしい。本書で提案された小さな行動が、あなたの明日をほんの少し、でも確かに変えてくれるはずだ。
文=古澤誠一郎