「話しやすい人」の特徴は? 合わない友人との付き合い方は? 親子で学びたい、人づきあいがうまくなるコミュニケーションのコツ【書評】

人間関係

PR 公開日:2025/7/20

人生がうまくいく コミュニケーション図鑑 神様が教えてくれた人間関係のヒント
人生がうまくいく コミュニケーション図鑑 神様が教えてくれた人間関係のヒント斉藤徹:監修/Gakken

 学生から若者、シニアに至るまで、人間関係の悩みがゼロという人はほぼいないのではないだろうか。どんなに人生経験を重ねても人付き合いの迷いは消えず、キャリアアップや子育てなど、人生のステージごとに新しい人間関係の課題も生まれる。

 そんな「人との関わり」でストレスを感じたことのあるすべての人が気付きを得られるのが、『人生がうまくいく コミュニケーション図鑑 神様が教えてくれた人間関係のヒント』(斉藤徹:監修/Gakken)だ。

 監修は、起業家であり、書籍やビジネス・ブレークスルー大学経営学部等で起業論やチーム作り、組織論を伝える斉藤徹氏。本書は主に、人間関係の壁にぶつかる小学校高学年~高校生に向けて書かれたものだ。10代の生活に即した内容で、人間関係に関するエピソードをマンガで伝えた上で、イラストを交えてその問題をひもとき、解決策を、具体例を交えて伝えている。

 主な登場人物は、仕事でモヤモヤを抱える涼子と悠太。中学の同級生だったふたりは偶然再会し、中学時代の人間関係の悩みをふり返っていく。マンガで、10代の学校生活や友人関係に関する「あるある」を伝えた後で、不安やトラブルが生まれる仕組みと対処法を解説する構成がわかりやすい。

 自分の意見を言えず周りに合わせてしまったり、劣等感を抱いたりと、若年層ならではの悩みに寄り添っていて、読者の共感を呼ぶ。「友達だからといって合わせることはない」「合わない人はいて当然、気にしない」「特定の人に依存しすぎない」というアドバイスは、人との適切な距離感に迷う10代にこそ響くだろう。

 1章「自分の気持ちを見つめよう」と2章「他者と向き合おう」というアプローチから入り、続いて、傾聴力などの「コミュニケーション」や、相手の視点に立つ「共感力」等について解説していくという構成も、コミュニケーションを学ぶ上で効果的だ。まずは、自分が人に対して心が動く仕組みや、「他者とは何か?」を理解した上で、言葉選びや接し方などの具体策を知ることで、納得感が上がり、理解がより深まるだろう。

 本書は、10代だけでなく大人に響く言葉も多い。たとえば「共感力」のパートでは、人間関係の問題を解決したい時は、それが自分が困る「自分の問題」なのか、相手の問題なのか見極めるのが大事だという。

 たとえば、キャプテンを務める部活動で練習に参加しない部員がいると、チームワークの乱れや試合に出るメンバーを決めづらいなど、自分にとっての困り事が起こる。その際は部員に対して、練習に来ないことを責めるのではなく、「自分は○○という理由で困っている」という「私メッセージ」で話すと効果的だ。自分の問題で相手を責めるとうまくいかないという指摘は、心当たりがある人も多いのではないだろうか。

 一方、「あの子は試験に向けて何も勉強をしていない」などの心配事は、相手の問題でしかない。その場合は、相手からの相談があるまでは見守ることが大切だ。

 チーム内で対立した場合は共通の目的を確認して「私vsあなた」ではなく「私たちvs課題」という姿勢で話し合う、白黒思考ではなく「まぁいいか」というオープンマインドが誰もが心地よく過ごせる社会を作るなど、チームの心理的安全性や多様性の確保に関する助言も興味深い。本書はこうした、今を生きる大人や未来を作っていく10代が向き合うべきテーマにも触れていて、視野が広がる。

 また、人間関係に悩み始める世代の子を持つ親は、初めて経験する子のトラブルに戸惑うこともあるだろう。本書は、そうした小中高生の子どもを持つ親が子をケアしたい時の助けにもなる。子どもが、人間関係の困り事に負けず、人生を楽しむ力を育むためのバイブルとして、親世代も持っておきたい1冊だ。

文=川辺美希

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