コトブキヤが原作のかいじゅうたち。「かいじゅうたちが誰かの癒やしになってくれたらいいな、と思います」【原作&プロデューサー インタビュー】
公開日:2025/7/30
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年8月号からの転載です。

宇宙の遥か彼方から「地球をせいふくするため」にやってきた4匹のかいじゅうたちの姿を描く『かいじゅうせかいせいふく』。ホビーメーカー・コトブキヤのオリジナルキャラクターであるこのかいじゅうたちは、イラストを担当するほしのこさんと、作品のプロデュースを担当する山田さんのタッグによって生み出された。SNSへの投稿が徐々に話題を集め、今春にはついにテレビアニメに。そして待望の単行本がこの7月に発売される。
――書籍化されてみていかがですか?
ほしのこさん(いか、ほしのこ):アニメ化が決まったときもですが、まずは「すごいことになったな」と思いました。でも、自分が描いた本が書店に並ぶなんて、実感が湧かないんです。ただ、告知をしたときに、「本になるのをずっと待っていました」と言ってくれるファンの方々がいて、それは本当に嬉しかったです。
山田さん(以下、山田):かいじゅうファンの方々に喜んでいただくため、描き下ろしのエピソードもたくさん収録しています。本書でしか読めない内容なので楽しんでいただけると嬉しいです。
ほしのこ:〈めら〉たちが地球にやって来るまでのお話や、〈がおがお〉と〈がるがる〉を絵本タッチに描いたマンガなどが入っているんですが、普段とは違うテイストで描いたのでとても楽しかったですね。
山田:このかいじゅうたちが、何かの役に立つといいな、と思います。それこそ、誰かの癒やしになったり。
――作品を描く上で意識していることはありますか?
ほしのこ:読んでくれた人が嫌な気持ちにならないこと、それは一番気をつけている部分です。わたし自身、「この子、嫌だなぁ」と思うような描き方はしないようにしています。かいじゅうたちがワガママで嫌な子に見えてほしくないですし、気ままなところはあるんだけど、可愛い子どもらしく映るように描いているんです。
山田:何か特別なメッセージがあるわけではなく、ただただかいじゅうたちが日々を暮らしている様子をお届けしている感覚です。
ほしのこ:そんなスタンスでいつつも、山田さんはちょうど子育て中だから、そこで感じたことなんかも投影されているんじゃないですか?
山田:それはあるかもしれない。〈めら〉たちは人間でいうと、4歳児くらいのイメージだから、きっとこんな時にはこんな風に感じるんじゃないかな、とか考えたりはしますね。
――単行本化されましたが、かいじゅうたちの暮らしはまだまだ続いていくんですよね?
山田:それはもちろんです。他のかいじゅうたちも登場させていきたいですし、〈めら〉たちが他のかいじゅうと出会って新たな一面を垣間見れる様子も楽しみにしていきたいです。そしてそうやって成長して、やがては〈めら〉たちが喋りだす日が来るかもしれないですね(笑)。
ほしのこ:創作物ってよく「我が子のような存在」なんて言うじゃないですか? でも、わたしにとってのかいじゅうたちは、もう手離れした別個の存在なんです。生きている彼らのことを、少し離れたところから観察しながら描き写していく感覚に近くて。そんな視点を忘れずに、今後も描き続けていきたいです。続編が出せたら最高ですね。そのためにも頑張ります!
取材・文=イガラシダイ
かいじゅうせかいせいふく●プラモデルやフィギュアなどを制作するホビーメーカー・コトブキヤが新プロジェクトとして2018年11月にX上に開設したアカウント。生みの親はコトブキヤのほしのこさんと山田さん。25年4月からテレビアニメの放送がスタートし、大きな話題を集めた。

地球をせいふくするためにやってきた4匹のかいじゅう、〈めら〉〈ぐーすか〉〈あにき〉〈しゅがー〉。OLの〈ぬし〉とともに暮らす彼らはどこかのんびりしていて、「せかいせいふく」なんてどこへやら? 描き下ろし作品のほか、アニメ声優のインタビューも収録!
食べること、旅をすることは、人になにをもたらすのか——。“ひとり時間”を楽しむ著者が自らのルーツを絡めながら、“食”や“旅”を通して、生きることを見つめるエッセイ集。ゆるくやさしく、余白を持って過ごすことの魅力が詰まった一冊。