「観測史上最も暑い」春や夏がほぼ毎年! 今の日本は異常気象満載の「二季」の国?/異常気象の未来予測

スポーツ・科学

公開日:2025/7/25

人智を超えた新たな豪雨災害

 異常気象ということで言えば、雨も日本で暴れています。降れば豪雨、晴れれば猛暑のどちらかで、気象が二極化しているのです。

 雨量だけでなく降る場所にも異常が見られます。かつては九州が豪雨の「本場」でした。しかし、雨の少なかった東北地方でも未曽有の豪雨が頻発しています。

 さらに関東地方の人々の頭を悩ましているのが、ゲリラ雷雨です。2024年、関東の雷の発生数は観測史上最多を更新しました。

 そして、日本各地で頻発している線状降水帯。線状降水帯は気象学の専門用語ですが、よく耳にするようになりました。

 線状降水帯とは、次々と発生する発達した雨雲が列をなし、長時間にわたってほぼ同じ場所で降り続く豪雨のことです。線状降水帯の本場もかつては九州だったのですが、いまや全国区に。線状降水帯のゲリラ化と言ってもいいでしょう。

 2024年1月に起きた能登半島地震から9ヶ月後に発生した、能登半島の線状降水帯。「まさか能登半島に!」と気象業界に衝撃が走りました。

 能登だけではありません。雨が少ないはずの東北でも線状降水帯や観測史上最大級の豪雨が頻発しているのです。雨の少ない地方は豪雨に脆弱なため、頻発する豪雨で東北地方の鉄道網はズタズタになっています。「豪雨災害」は、単純な雨量だけで発生しているわけではないのです。

 雨の少ない地方に住む人や自治体は豪雨を他人事だと思っているため、どうしても油断しています。ところが、近年の豪雨はこれまでとは異なります。長年にわたる人間の経験が活かされない時代に突入したのです。「まさか自分のところに……」が常套句化しています。

 豪雨の発生時期にも異常が見られます。2024年には11月としては初の線状降水帯が長崎県で発生。晩秋にも夏のような豪雨が起こる時代となっています。

 実は近年の大規模豪雨災害は、線状降水帯以外でも増えています。

 有名な例が2018年梅雨期の西日本豪雨、正式名称は「平成30年7月豪雨(前線及び台風第7号による大雨等)」です。平成以降の単一の豪雨災害としては初めて死者数が200人を超えたこの豪雨では、長野県以西の多くの地点で、3日間連続で降水量が観測史上最大となりました。その記録は今でもほとんどの地点で破られていません。

 このときは北海道でも観測史上最大の豪雨がありました。関東と東北地方を除く日本のほぼ全域で観測史上最大を記録した、未曽有の豪雨だったのです。

 2018年の西日本豪雨では、線状降水帯は一部の地域でしか発生していませんでした。昔の豪雨は狭い範囲に大量の雨が短時間にドカッと降る短期集中型で、これを集中豪雨と呼びます。

 ところが近年の豪雨は、短期集中型に加えて、広い範囲でより長期間降ることが増えているのです。

 昔は狭い範囲で短時間にドカッと降ったので、被害も地域限定型でした。近年は長く降り続いて、且つ日本の広い範囲で降る雨が増えています。当然、被害地域も広範囲に及んでいます。

 2017年に新語・流行語大賞にもノミネートされた線状降水帯ですが、豪雨は確実に次のステージに来ているのです。

<第2回に続く>

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