メールの「取り急ぎご連絡まで」は正しい表現?/毎日雑学
公開日:2025/8/7

メールの「取り急ぎご連絡まで」は正しい?
文字だけのコミュニケーションは気持ちが伝わりにくく誤解を招きやすい傾向があります。また、いつまでも残るものなので表現には注意が必要。適切な言葉で明確に伝えることが大切です。
「取り急ぎご連絡まで」は急ぎで用件だけを連絡するときに使いますが、いくつか注意点があります。
■使うときの注意点
①取引先や上司には使わない
「取り急ぎご連絡まで」は文末まできちんと書いていない省略した文章です。相手に失礼と捉えられる可能性があります。
②内容は1件のみ
急を要する案件のときのみに使う言葉です。そのほかの案件も書くと緊急性が伝わりません。
③あとで詳細を必ず伝える
「急を要することなので、まずは現在の情報を伝えます」といった意味合いのため、相手は「詳細はまだか」と待っているはずです。何日もお待たせすることなく、あるいは「〇日までには改めてご連絡いたします」と明記して詳細な情報を連絡しましょう。
■言い換え
「取り急ぎご連絡まで」を使ってはいけない取引先や上司には以下の言い換え表現で対応しましょう。
<文末まで書く>
・取り急ぎ、ご連絡いたします(申し上げます)
<「取り急ぎ」を言い換え>
・まずは、ご連絡申し上げます
・一旦、資料のみをお送りいたします
<次の連絡を明記>
・まずは、ご連絡のみにて失礼いたします。〇日までに改めてご報告申し上げます。
伝える内容によっては「ご連絡」を「ご報告」「ご案内」と入れ替えるとよいでしょう。また、「とりあえず」という言葉も「急いで」という意味ですが「間に合わせとして」のニュアンスが含まれているため場当たり的な印象になります。メールだけではなく会話でも注意が必要ですね。
誤解を招かないように、見直してみましょう。
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
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