「お身体をご自愛ください」は言葉が重複していて間違い!?/毎日雑学

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公開日:2025/8/8

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「お身体をご自愛ください」は言葉が重複している

メールや手紙の結びとして「ご自愛ください」はよく使われる言葉です。「自愛」の意味は 「自分を大切にすること。自分の健康状態に気をつけること。現代では、『御自愛』の形で、手紙の末文などで相手に向けて用いることが多い。」(デジタル大辞泉)

ということは「ご自愛ください」だけで「あなた自身のお身体を大切になさってください」という意味で、「お身体ご自愛ください」は「身体」を2回重ねている二重表現という間違いになります。

■適切な表現

「時節柄、どうぞご自愛くださいませ」
「季節の変わり目です。どうぞご自愛のほどお祈り申し上げます」

※尾形がよく使う言葉
「お忙しいことと存じますが、どうぞお身体おいといくださいませ
「おいとい(厭う)」は、かばう・いたわる・大切にする、との意味があり、かな文字のほうが柔い印象でニュアンスが伝わります。

また、「お身体」と「お体」、どちらも使えるのですが、意味を考えて使うことが大切です。「体」は主に肉体を、「身体」は心身を表しています。

■そのほかのよくみる二重表現

✕連日暑い日が続く→◯暑い日が続く
✕犯罪を犯す→◯罪を犯す
✕受注を受ける→◯受注がある/注文を受ける
✕後で後悔する→◯後で悔やむ/後悔する
✕内定が決まる→◯内定する(した)
✕過半数を超える→◯過半数に達する/過半数を占める
✕返事を返す→◯返事をする

このほかにも二重表現はたくさんあります。続くとはだらだらとした印象になり、稚拙な文章に感じてしまいます。二重表現を把握し、意識して文章を見返えしましょう。スッキリ文章へ!

文=尾形圭子

尾形圭子

株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。

※提供している情報には諸説ある場合があります。ご了承ください。

<第301回に続く>

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