「送らさせていただきます」は間違った敬語! 正しい表現は?/毎日雑学
公開日:2025/8/9

「送らさせていただきます」
この言葉は、「『さ』入れ言葉」という間違いです。「せる」「させる」を丁寧な形にする際に、本来は「〜せていただく」のところを「〜させていただく」としている例です。正しくは、五段動詞の「送る」を「〜せていただく」という形にするには助動詞の「せる」を付けるため「送らせていただきます」で十分なのですが、「させていただく」をそのままつけてしまった間違いです。
この間違いの原因は「させていただく」の乱用が一つの原因といわれ、丁寧さを求めて余計な言葉を入れたことが始まりです。「見させていただきます」「休まさせていただきます」「読まさせていただきます」も同様で、「見せていただきます」「休ませていただきます」「読ませていただきます」がそれぞれ正しい表現です。スッキリしますね。
■そのほかの避けたい表現
①「ら抜き言葉」
✕「食べれる」→◯「食べられる」
✕「見れる」→◯「見られる」
②「い抜き言葉」
✕「話してる」→◯「話している」
✕「してる」→◯「している」
「ら抜き言葉」や「い抜き言葉」は若い世代の会話で多く使われているようです。しかし、「さ入れ言葉」は、政治家や芸能人がテレビの報道の中で「◯さんの映画を観させていただきました」など頻繁に聞こえてきます。キャリアを重ねた人たちが使っている言葉として、より丁寧な表現であると広まっていくことが懸念されます。もしかして、将来的には「より丁寧な表現」として認められることがあるかもしれませんね。「学ぶ」は「真似る」が語源です。正しく美しい日本語を学んでいきたいものです。
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
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