「上には上がいる」は間違った表現!? 誤用しやすい言い回し/毎日雑学
公開日:2025/8/11

「上には上がいる」は間違い
この言葉の意味は、「最高にすぐれていると思っても、さらにすぐれたものがある。うぬぼれや欲望を戒める言葉」(デジタル大辞泉)で、誰かと比較したときに、自分の油断や高ぶりを戒めるために使われます。そのため「人」が対象で「いる」と言ってしまいますが、実は「上には上」は「人」のことではなく、行為や状態のこと指しているため「いる」ではなく「ある」なのです。
■正しくは
「上には上がある」です。類義語には「上をみればきりがない」「上をみれば方図(際限)がない」があります。
■同様の誤用
①✕足下をすくわれる→◯足をすくわれる
足はすくえるが、足下はすくえない。「足下を見られる(自分の弱みにつけこまれること)」など、“足下”を用いた慣用句・ことわざと混同したのが誤用の原因考えられます。
<言い換え>足を引っ張られる/寝首をかかれる/不意を突かれる
②✕新規巻き返し→◯新規まき(蒔き)直し
「巻き返し」は劣勢から立て直して反撃するとの意味。新しく始めることを意味する「新規」との組み合わせは適切ではありません。「まき(蒔き)直し」は、まいた種に芽が出ないので、改めて種をまくことから新たにやり直す意味。
<言い換え>「巻き返し」という言葉を使う場合は、「巻き返しを図る」「巻き返しに出る」など
このように発音が似ていたり、違う使い方が広まっている場合は誤解が生じやすいようです。疑問に感じたときはしっかり調べて使いましょう。
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
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