「とんでもございません」文法的にはおかしいけれど、現代では使用OK?/毎日雑学
公開日:2025/8/14

「とんでもございません」の現代的考察
結論からお伝えすると「とんでもございません(ありません)」の使用は、全く問題はありません。文化庁も、2007年に発表の「敬語の指針」で使用を容認しています。理由はすでに慣例化されているからとのことです。
確かに違和感はありませんが、以前は「とんでもございません」は、形容詞「とんでもない」の一部分である「ない」だけを切り離し、丁寧語の「ございません」に変化させた表現のため、文法的には不適切であり「とんでもないことでございます」が正しい!という意見が主流を占めていました。
仕事であらゆる年代の方とお会いしますが、そこで感じるのは年代が上の人ほど「とんでもないことでございます」派が多いということ。研修の受講者からは「60代の方に『とんでもございません』と言ったら『君は言葉を知らん!』と叱られた、どうしたらよいのか」といった質問や、逆に「『とんでもないことでございます』といったら『よく勉強している』と褒められた」という意見があがることもあります。
そんな迷いを解消するために、以下を参考にしてください。
■印象アップのために
「とんでもございません」の印象アップポイントは、必ずひと言具体的な内容を伝えることです。気持ちが伝わります。
<褒められた>
「とんでもございません。お役に立てて光栄です。いつでもおっしゃってください」
<謝罪された>
「とんでもございません。こちらの確認不足もあるかと思います。お気になさらないでください」
■言い換え
便利な言葉の「とんでもございません」ですが、できればポジティブな表現にしたほうがお互い気持ちの良いコミュニケーションがとれることもあるでしょう。目上の方、年上の方におすすめです。
「お褒めいただき光栄です。これからも励んでまいります」
「恐縮です。先輩のご指導のおかげです」
「もったいないお言葉です。ありがとうございます」
「まだまだこれからです。皆さんに助けられています」
■まとめ
話しをするということは、相手の心に届けたいということ。「伝える」ではなく「伝わる」ために適切な表現と 「言葉」を大切していただきたいと思います。挨拶や季節の言葉など、美しい日本語がたくさんあります。誰かを思いながら表現を磨いていきましょう。
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
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