“もむもむ”“ねりねり”オノマトペが楽しい! ひとつ屋根の下で暮らすふたりのかわいい毎日に癒やされる『いつもいっしょ! しろろとくろろ』【書評】

マンガ

公開日:2025/7/30

 肩の力を抜いて癒やされたいときや、心を和ませたいとき。ぜひ手に取ってほしい漫画がある。それが、『いつもいっしょ! しろろとくろろ』(たまきち/KADOKAWA)だ。

 大人しくて慎重派な「しろろ」と、活発で好奇心旺盛な「くろろ」。ひとつ屋根の下で暮らすふたりは、何をするにも一緒にいる。毛づくろいをし合ったり、くっついて眠ったり、サンドイッチを作ったり…。

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 ころころした身体でじゃれ合い、仲良く過ごす姿。その一挙手一投足に、思わず笑顔になってしまう。ひとつの話はあっという間に読めてしまう1ページ分。しかし短い中にも起承転結がきちんとあるため、読後の満足感はバッチリ。ちょっとした休息時間や、寝る前のリラックスタイムに読むのにぴったりだ。

 とくに印象深いのは、しろろが不在のときのくろろの様子を描いたエピソードだ。くろろは、しろろを模したぬいぐるみを背中に乗せて“たったか たったか”走ったり、“わちゃわちゃ”しながら遊び、しろろが帰ってくる頃には遊び疲れて眠ってしまう。そんなくろろに、しろろは“ねり”と傍に寄り添う。

 ユニークなオノマトペで表現されるふたりの動きが愛くるしい。最小限の台詞だけでストーリーが展開していくところも、魅力のひとつである。
 
 ふたりが共に過ごす日常のひとつひとつはささやかで、気づいたら記憶からさらさらとこぼれていってしまいそうな出来事だ。しかしそれらは、何ものにも代えがたい穏やかで愛おしい瞬間なのである。

 1ページ1ページを噛み締めながら読み進めるうちに、心にじんわりと温もりが広がっていくのがわかるだろう。本作がいつでも手に取れる場所にあるだけで、わたしたちの毎日もほんの少し優しいものになるはずだ。

文=ネゴト / 桜小路いをり

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