「はちゃめちゃで明るいおばあちゃん」のイメージが、戦争体験を綴った“作文”で一変【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/8/4

 鹿児島県・徳之島で戦争を体験し、家族全員を失いながらも生き抜いた祖母の物語を描いたコミックエッセイ『戦争さえなければ』(てんてこまい/KADOKAWA)が多くの読者の心を動かしている。

 ある日、押入れで見つけた封筒。そこには、戦時によって文字を学ぶ機会も奪われ、53歳で夜間中学校に入学した祖母が、習いたての文字で綴った自分史や、戦争への思いを込めた作文「戦争がにくい」が入っていた。内容に衝撃を受けた、孫・てんてこまいさんがエッセイマンガとして仕上げ、KADOKAWAコミックエッセイ編集部が主催する新人賞「第18回新コミックエッセイプチ大賞」を受賞。大幅な加筆・描き下ろしを経て、今回の書籍化に至った。戦争の記憶と学びの尊さを伝える本作の制作背景について、てんてこまいさんに話を伺った。

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――おばあさまの印象的なエピソードがあれば教えてください。

てんてこまいさん(以下、てんてこまい):徳之島ではよもぎもちがよく食べられているそうなのですが、母が子どもの頃にもよく土手に生えてるよもぎをとってきて、おばあちゃんがよもぎ餅を作ってくれていたようです。犬が散歩してるような場所だから… まぁ、そんな感じのよもぎなんですが、漫画にも描いているように昔のおばあちゃんの生活からすると犬のおしっこがかかっているくらいなんともないよな! と思いました。

 他には、おばあちゃん家はゴーヤを育てていて、よく言えばグリーンカーテン… というか、育ちすぎて家がゴーヤに埋もれかけていたんですが、夏になるとすごくたくさんゴーヤが収穫できました。子どもの頃はゴーヤの苦味が嫌で… ゴーヤをもらってきたらチャンプルーの日が多くなるので憂鬱でした(笑)。おばあちゃんの家に行くといつも「持って帰り〜」と言ってくれるのですが、内心「もうこれ以上ゴーヤ出来てくれるな!!」と思っていましたね(笑)。

――おばあさまから、戦争の話や幼少期の思い出を聞くことはありましたか?

てんてこまい:ほとんど聞いたことがなくて、だから作文を見つけてびっくりしたんです。小学生の時の「おじいちゃん、おばあちゃんに戦争の話を聞きましょう」といった宿題も、家が近い父方のおばあちゃんに聞きに行っていたので。

――てんてこまいさんのお母さまも、おばあさまの戦争体験については詳しくは知らなかったのでしょうか?

てんてこまい:作文を見て初めて知った部分は多いみたいですね。おばあちゃんが昔話をすることはあったんですけど「またそんなん言うてる」と、聞き流すことが多かったみたいで。親子って、そういうことあるじゃないですか(笑)。

取材=西園寺くらら 文=松本紋芽

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