ルーツはジャンプ漫画!? コマ割りのおしゃれさに感激した作品とは?【著者インタビュー】
公開日:2025/8/12

鹿児島県・徳之島で戦争を体験し、家族全員を失いながらも生き抜いた祖母の物語を描いたコミックエッセイ『戦争さえなければ』(てんてこまい/KADOKAWA)が多くの読者の心を動かしている。
ある日、押入れで見つけた封筒。そこには、戦時によって文字を学ぶ機会も奪われ、53歳で夜間中学校に入学した祖母が、習いたての文字で綴った自分史や、戦争への思いを込めた作文「戦争がにくい」が入っていた。内容に衝撃を受けた、孫・てんてこまいさんがエッセイマンガとして仕上げ、KADOKAWAコミックエッセイ編集部が主催する新人賞「第18回新コミックエッセイプチ大賞」を受賞。大幅な加筆・描き下ろしを経て、今回の書籍化に至った。戦争の記憶と学びの尊さを伝える本作の制作背景について、てんてこまいさんに話を伺った。
――書籍発売後、どのような反応がありましたか?
てんてこまいさん(以下、てんてこまい):保育園の頃の担任の先生から、InstagramのDMが来たんです。以前、私の父に偶然会った時に「漫画を描いている」と聞いてから、ずっとフォローしていたと。わざわざ購入してくれたみたいで、びっくりですよね!
あとは家族もすごく盛り上がっていて(笑)。母は、自分で何冊か買ったものを近所に配っているんです。妹が通っている中学校の図書館にも本を置かせてもらいましたし、嬉しいような恥ずかしいような……。
――1冊のコミックエッセイとして仕上げたことでの変化はありますか?
てんてこまい:SNSで発信する時は、スマホで読むことを意識して画像ごとにコマを割る描き方が多かったんですけど、今回は作りながら、コマ割りで表現できることの多さを改めて実感できました。
――これまで、どのような漫画を読まれてきたのでしょうか?
てんてこまい:あらゆる漫画を読んでいるんですが、高校生になって、バイトのお金で初めて大人買いしたのは『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)です。隣町の大きい本屋さんに行って、両手に抱えて帰ったのを覚えています(笑)。
私、ジャンプ漫画が好きなんですよね。今だと『SPY×FAMILY』(遠藤達哉/集英社)とか、コマ割りのおしゃれさに感激しながら読んでいます。「このコマ割り、すごい!」と思ったものは、勉強するために見返すことも多いですね。
取材=西園寺くらら 文=松本紋芽