新社長は俺様モンスター。健気な社長秘書が恋に仕事に奮闘する大人気オフィスラブ、感動のフィナーレ!『MONSTERの甘い牙』【書評】
公開日:2025/8/18

『MONSTERの甘い牙』(伊吹楓:漫画、橘いろか:原作/双葉社)は、大人にこそ読んでほしいオフィスラブコミックだ。俺様モンスターな社長と、健気な社長秘書の恋模様が描かれる。
大企業の秘書課で勤務するヒロイン・望愛(のあ)。温厚で心優しい社長をサポートする業務にやりがいを感じていた。ある日尊敬する社長は倒れ、その息子の渉(わたる)が新たな社長になることに。
しかも、彼は口が悪く冷淡な“俺様モンスター”で、望愛に次から次へと無茶をふっかけてくる。望愛はくじけそうになりながらも信頼関係を築こうと、一生懸命に渉と向き合っていく。
本作で印象的なのは、ヒロインの真っ直ぐな人となりだ。望愛は、献身的な性格で仕事に対して真面目。渉が社員に対して高圧的な態度をとったときには、毅然と指摘する強さも持ち合わせている。
一方で、恋愛経験の乏しさにコンプレックスを感じており、男性に対して耐性がないという一面も。うぶな様子も彼女の魅力である。
さらに、冷徹モンスター・渉の心が少しずつ変化していく様にも注目だ。最初こそ冷徹な態度で挨拶もしなかった渉が、望愛の言葉や会社への姿勢に心を動かされ、優しい一面を見せるようになっていく。
ふたりの「社長と秘書」としての関係が恋へと移り変わる瞬間に、ぜひ注目してみてほしい。
秘密の社内恋愛ならではのドキドキや、ぴりっと辛い三角関係、ふたりの恋模様に影を落とす波乱の展開などなど、ページをめくる手が止まらなくなるエピソードの数々は圧巻だ。甘さの中に辛さを織り交ぜた絶妙なバランス感は、ただキュンとするだけでは物足りない大人女子の読者におすすめしたい。
2025年6月に最終8巻が刊行され、本作は見事完結。思わず一気読みしてしまうドキドキと胸キュン…ふたりが迎える感動のフィナーレを、見届けてほしい。