天羽希純のエッセイ連載「アイドル界のモンスター」/第6回「ドッヂボール」

小説・エッセイ

公開日:2025/8/5

私が所属するアイドルグループ#2i2 は12月で解散します。

私は「解散」というものを経験した事がありません。

高校1年生の時にアイドルになりました。
それが私の芸能生活のスタートです。

そこから何個かのアイドルを経由して今のグループ#2i2 になったのですが、解散をしたことはなく個人の卒業という形でした。

私の中でライブアイドルというものは、学校と似ていると思っていました。

〇〇学校というものがあってそこに入学する者もいれば卒業する者もいる……の繰り返しで〇〇学校は続いていく。

アイドルグループも、〇〇というグループに加入する者もいれば卒業する者もいる。
〇〇というグループや曲はずっと続いていく。

なので、アイドルグループを卒業する時も今のメンバー達と活動できなくなる寂しさは感じるけれど、学校と一緒で次に進む為であってネガティブな卒業ではない。このグループはこれからも頑張り続けていってほしい。
という感想でした。

解散をするというグループの話を他所で聞いても、正直「なんで解散してしまうんだろう?卒業する子と継続する子、新メンバー加入などでどうにかならなかったのだろうか」と思う時もありました。

けれど #2i2 を経験して、これまでの考えは変わりました。

4人で長い間一緒に過ごしてきて、楽しいことはもちろん悔しいことや悲しいことも沢山ありました。
パフォーマンスの事でぶつかったりもしました。最初から上手くいったことなんてひとつもありませんでした。

ひとつひとつ課題を乗り越えていって、今の #2i2 というグループがあります。

誰が減っても、誰が入ってもそれは#2i2 ではないと感じるまでにこの4人の #2i2 が最高で最強で、グループに対しての愛が強くなりました。

なので解散というのをみんなで決めた時も、喪失感や寂しい悲しいという感情より、これが私たちの完成なんだなと感じました。

なので悔いの残らない完成をみんなに届けたい。
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いきなりごめんなさい。
ここまでエッセイを書いている途中でした。

続きを書こうとしていたのですが、今日最後のTIFがありました。

最後のTIFを経て、なんだかよく分からないこの気持ちをよく分からない文章かもしれませんが書かせてください。

そう、完成だと前向きに思っていました。

けれどこの心にポッカリあいた穴みたいなのはなんだろう……。

TIF最後のステージの最中、走馬灯のように思い出が蘇ってきました。

メンバーの変な行動、クスッとしちゃう事件、焦った事件、話したこと、悔しかったこと……

もう12月が来たら経験できない事ばかりかもしれないと思ったら最後のステージで涙が出てきてしまって。

解散は前向きであって悲しいことじゃない、完成だ……
それはそうなんだけど!

ハッキリなにか言いたい訳ではありません。

言いたい訳ではないというか、自分でもこの気持ちが何なのか分からないから言えない、が正しいのですが……

#2i2 じゃない自分が想像できない。
ほぼ毎日一緒にいたメンバーとこの先別の道を歩むのが想像できない。
解散したその先、自分が何者なのか分からない。

だから無責任かもしれないし秘密ですけどもうちょっとだけ、

、、、、

思ったりして。

みんなが決意して覚悟を決めてる中でこんな気持ち聞いたらどうしていいか分からなくなっちゃって困らせちゃいますよね。

だからライブ後で感情がたかぶってる状態の私の独り言だと思って聞き流してください。

ちゃんと人間になったんだなー、#2i2

これからも変わらず完成に向けて進みます。

その過程で色んな感情が湧いてくるかもだけど、それくらい濃い時間を過ごしてきたって証拠だよね

<第7回に続く>

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天羽希純(あまうきすみ)
8月12日生まれ。東京都出身。
アイドルグループ #2i2の紫担当。
特技はピアノ、トロンボーン、大きな拍手、くねくねボイス。