死にゆく人にどう接すればいい? 父親の終末期を描いた漫画に「心の整理がついた」「胸を打たれた」と反響【著者インタビュー】
公開日:2025/8/10

25歳のとき、ステージ4のすい臓がんだった父親を亡くした漫画家の水谷緑さん。親の死というショッキングな出来事のあとに残ったのは、“ちゃんと父を看取れたのだろうか”という大きな後悔。そのあと、水谷さんが自身の後悔の気持ちを相談したのが「緩和ケアナース」でした——。『大切な人が死ぬとき ~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~』(竹書房)では、水谷さんが父親を見送るまでの一部始終や、緩和ケアナースの取材で分かった死にゆく人たち、そしてその家族の心境を伝えています。当事者の体調の変化、残された家族の葛藤などが細やかに描かれ、大切な人を失った人や、今まさに家族の死が目前に迫っている人はもちろん、まだ家族の死を経験していない人にとっても心に響く一冊。大切な人が死ぬとはどういうことなのか? 著者の水谷さんに話を聞きました。
——「緩和ケア」について漫画を描こうと考えたのはなぜですか?
水谷緑さん(以下、水谷):父が生きていた頃、どんな風に接すればいいかわからないまま亡くなってしまったので、後悔が大きかったんです。死後に緩和ケアのことを知ったとき、私が後悔していたことの答えが、緩和ケアの中に結構あったんだなと思いました。
——緩和ケアの看護師や医師に取材をして本作を描いたそうですが、緩和ケアとはどういうものですか?
水谷:医療者の方いわく、病気の治療とはまた別で、ふだんの生活をなるべく快適に送れるように痛みの調整をするとか、そういうケアのようでした。余命が宣告されるような終末期の患者さんだけではないみたいです。私が話を聞いたのは2010年くらいなので今は変わっていると思いますが、当時は「あまり知られていないから、もっと身近になったらいいのに」とお医者さんが仰っていました。
——自分の親が死の目前にいる人や、親や大切な人を見送ったけど正しい看取りができたのかわからず後悔している人が、本作を読んで「心の整理がついた」「胸を打たれた」と感じたようです。多くの反響を受けていかがでしたか?
水谷:みんな同じなんだなと思ったし、役に立てたようで良かったです。漫画の帯を見たら、お父さんが新聞を逆さに持ち、震えながら頑張って新聞を読んでいるコマが切り出されていて、こういうコマが目に留まるんだな、と感じた記憶があります。
※書籍出版当時の体験、お話をもとにインタビューを行っています。治療などに関する専門情報は、各医療機関にご確認ください。
文=吉田あき