絶対に残業しないOLが晩酌を極める!栗山千明ドラマが話題の『晩酌の流儀』【書評】

マンガ

公開日:2025/8/28

 ページをめくるたびに飯テロ&酒テロの連続で、思わずお腹が空いてきてしまう『晩酌の流儀』(「晩酌の流儀」製作委員会:原作、小石川カナリ:漫画/KADOKAWA)。忙しい日々を生き抜く社会人に贈りたい、美味しさと癒しが詰まった一冊だ。2022年夏に放送されて話題となった、ドラマシーズン1の完全コミカライズである。2025年6月からは「晩酌の流儀4~夏編~」が新たに放送され、改めて注目を集めている。

 不動産会社に勤務する伊澤美幸。彼女は仕事に常に真剣に向き合い、的確な対応で信頼を得ている。そんな彼女のモットーは、必ず定時に上がること。美幸が絶対に残業しない理由は、毎日の晩酌のためだった。1日の最後にどうしたら最高に美味しいお酒を飲めるのか。美幸はそれをひたすらに追求していく。

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 最高の一杯を味わうために、美幸は何一つ妥協しない。たとえば、晩酌をより美味しく味わうためにサウナやジムで身体を整え、スーパーでの買い物も吟味し、ビールグラスや注ぎ方にもこだわる。こうしたルーティンすべてが、「晩酌を極める」ための“儀式”のようで美しい。時に残業から逃げられなかったり、サウナが閉まっていたりと想定外のトラブルも起こる。だがそんな時も、美幸が妥協することはない。余り物を活用して調理したり、家のお風呂でサウナを再現したりと臨機応変な対応力とアイデアには驚かされる。

 美幸の晩酌は宅飲みが基本で、しかもスーパーで揃うもので完結するため、読者が真似しやすいのも嬉しい。普段買える食材やお惣菜をより美味しくするようなアレンジばかりだ。酒の肴になるものから、生姜焼きや蕎麦など普段の夜ご飯に活用できるレシピも多い。忙しい日々を送る人にも役立つ内容ばかりだ。

 美幸がいつも大事にしているのは、自分の好きな時に、好きなものを食べて好きなものを飲むこと。ささやかに思えることだが、これ以上の幸せはきっとない。美幸の毎日と、至福の表情で晩酌を楽しむ姿に触れたら、きっとあなたも1日の最後に美味しいお酒が飲みたくなるはずだ。

文=ネゴト / fumi

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