名作童話『くるみ割り人形とねずみの王様』をオマージュ! ダークな要素を加えたアレンジで独自の魅力をプラス【漫画家インタビュー】
公開日:2025/8/29

E.T.A.ホフマンによる名作童話『くるみ割り人形とねずみの王様』をオマージュした漫画『くるみ割り人形』。
この世で最も美しいとされたピルリパート姫は、ねずみの女王の呪いにより、長きにわたり醜い姿へと変えられていた。
お菓子の国の王子は「クラカトゥクのくるみ」を割り、姫に食べさせることで呪いを解いたが、その代償として自らが呪われ、醜いくるみ割り人形の姿になってしまう。姫はその姿を見て、王子との結婚を拒んだ。
以来、王子は醜いと言われた口元を隠して静かに過ごすようになる。心優しい少女マリーは、叔父から譲り受けたくるみ割り人形を気に入って大切にするが、彼はいまだ心を閉ざしたままで――。幻想と現実が交錯する、美しくも切ない物語である。
可愛らしい雰囲気のイラストと独特の世界観が印象的な本作は、X(旧Twitter)を中心に人気が高まっており、7万以上のいいねが集まる投稿も。
作者・てんてこ(@tenteko_mai51)さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
くるみ割り人形と少女を自分なりの表現で描いてみたかった
ーーE.T.A.ホフマンの小説『くるみ割り人形とねずみの王様』を題材に選んだ理由を教えてください。
もともとおとぎ話が好きだったのですが、『くるみ割り人形とねずみの王様』はこれまできちんと読んだことがありませんでした。ちょうどクリスマスが近づいていたこともあり、クリスマスが舞台のこの物語は、イラストのテーマとしてぴったりだと感じました。
実際に本を手に取って読んでみると、その幻想的で少し不思議な世界観に強く惹かれました。すぐに「自分の表現でくるみ割り人形とマリーを描いてみたい」と思うようになり、制作に取りかかりました。
ーーこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはなんですか?
個人的に、「人外×少女」という関係がとても好きで、くるみ割り人形とマリーの間にある特別な絆や距離感を表現したいと思いながら描いています。
ふたりの関係がどういったものなのか、見る方それぞれに想像して楽しんでもらえたら嬉しいです。構図や色合いにもこだわり、思わず目を引くようなビジュアルにすることで、ふたりの関係や物語がより伝わるような絵作りを意識しました。

ーーくるみ割り人形の優しさや、少女に対する紳士的なふるまいが印象的でした。描くうえで、意識されたことはありますか?
もともとは人間だったけれど、ねずみの女王によって醜いくるみ割り人形の姿に変えられてしまった ……そんな背景を意識しながら、「自分を見失いつつも、優しさや愛を忘れていない存在」として描いています。
人ではない見た目だけど、人としての心を持ち続けている。そこに魅力を感じています。
ーーデフォルメのバランスや配色など、キャラクターのデザインでこだわった部分を教えてください。
原作では、くるみ割り人形は小さな人形の姿ですが、私の作品では人間と同じくらいの大きさにデザインしています。ミステリアスでかっこよく、それでいてどこか影のあるキャラクターを目指しました。
くるみ割り人形の象徴とも言える大きな口は、マフラーで隠すことで自分なりのアレンジを加え、新しい物語が生まれたように感じています。色使いは、メルヘンで可愛らしいけど少し怖さもあるおとぎ話の世界観を意識しました。
ーー今後、原作とは異なる新キャラクターが登場したり、新たな解釈を加えたオリジナル展開に発展したりする可能性はありますか?
完全なオリジナルキャラクターを登場させる予定は現時点ではありません。原作をリスペクトする気持ちを大切にしつつ、自分らしさを加えた形で物語を広げていきたいと思っています。
美しさや楽しさだけでなく、少しダークな面や切なさも描けたら嬉しいです。
ーー本作を通じて描きたいこと、伝えたいことはありますか?
やはり『くるみ割り人形』の魅力は、くるみ割り人形とマリーの関係にあると思っています。その純粋で一途な愛の形を、自分なりの表現でしっかり描いていきたいです。
私は原作が大好きなので、自分の作品を通して、その魅力を少しでも伝えられたら嬉しいなと思っています。
ーー今後の展望や目標を教えてください。
『くるみ割り人形』をテーマにしたグッズや、イラストと漫画をまとめた本を出したいと思っています。
また、『くるみ割り人形』に限らず、好きなおとぎ話をこれからも作品にしていきたいですね。私の作品が、誰かにとって原作を読むきっかけになったり、「こういう解釈もあるんだ」と楽しんでもらえたらとても嬉しいです。
ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
作品を作り続けられているのは、見てくださる皆さんのおかげです。「こういうことかな」と考察してくれたり、「かっこいい!」と感想をいただけるたびに、すごく励まされています。
このたび、このような機会を頂けたのも、応援してくださる方々のおかげです。これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。