予防歯科の先進国! スウェーデンの子どもが土曜日だけ食べられるものは? むし歯ができる原因を知って、親子で楽しく対策!!【書評】
公開日:2025/9/1

「むし歯ってどうしてできるの?」「どうして歯がとけちゃうの?」——歯みがき嫌いの我が子にそう質問された時、上手く答えることができなかった。歯みがきをしないとむし歯になってしまうのは分かる。だけれども、改めて「どうして?」と問われると、大人でも答えるのが難しい。子どもに歯をみがくことの大切さを楽しく伝えられたら、それが一番のむし歯予防になると思うのだけれども……。
そんな子どものむし歯対策に悩んでいるご家庭にオススメなのが、『1回3分むし歯にならない絵本』(あきやまかぜさぶろう、アキヤマヒカル:著、岩本勉、青木章:監修、渡部裕之:原案/白泉社)。大人気絵本作家と大学歯学部の教授、そして5人の歯科医師たちによって生み出されたこの本には、知っているようで知らなかった歯の知識が満載。子どもも大人も一緒に楽しく、むし歯予防について学ぶことができる1冊なのだ。

本書は「こどものページ」「おとなのページ」の2部構成になっている。「どうぶつは歯みがきをしないのに どうしてむし歯にならないの?」——たとえば「こどものページ」は、こんな問いからスタートするのだが、大人も「確かにどうしてだろう」と疑問に思わされるに違いない。どうしてかといえば、どうぶつたちは「あまいものをたべることがない」から。やはり甘いものがむし歯の大きな原因になるらしい。
「こどものページ」には、ほかにも「歯は鉄よりカタイってホント?」「歯はかたいのにどうしてむし歯になると穴があくの?」「とけた歯はもとにもどるってホント?」「とけた歯がもどらないときもある?」など、子どもが興味を持ちそうなテーマが盛りだくさん。特に3歳の我が子が気に入ったのは、「むし歯シーソー」のページ。むし歯になりやすい方を指で指していくページだが、ゲーム感覚で読み進めていくうちに、むし歯は甘いものを食べたり、食べた後に歯をみがかなかったりするとできてしまうこと、しっかり朝昼晩のご飯を食べて、食べた後にしっかり歯をみがけば、むし歯になりにくくなることが分かる。親子で楽しく絵本を読むうちに、自然と歯みがきの大切さに気付かされるのだ。

「おとなのページ」もまた面白い。「むし歯ができる4つの条件」「再石灰化と脱灰の話」「ポカン口の話」など、子どもをむし歯から守るための知識が分かりやすく解説されている。特に興味深かったのは、「予防歯科の先進国・スウェーデンのむし歯予防最前線のHOTなお話」。スウェーデンでは、子どもの飲み物はおもに水か牛乳で、甘いものを食べるのは土曜日だけ、平日は甘いお菓子はあまり食べさせない家庭が多いというから驚きだ。そこまで徹底はできなくても、私たちもスウェーデンの家庭のように正しい知識を身につけ、甘いものには注意し、仕上げみがきを徹底したい。

本書のタイトルに書かれている「1回3分」というのは子どもの歯みがき時間のひとつの目安なのだという。歯垢を取るには、歯のすべての面に歯ブラシを20回くらいあてることが必要で、トータルで最低3分前後はかかる。では、歯はどうやって磨けばいいのか。それは絵本の中でも解説されているが、この絵本の発売にあわせて、「むし歯にならない歯のみがき方」動画が公開されているから、まずはこの動画を見てみてはいかがだろうか。動画と絵本を組み合わせれば完璧。ずーっとむし歯ゼロで過ごすために、あなたの家でも、動画と絵本で、親子で楽しくむし歯予防をしてみよう!
文=アサトーミナミ