口が達者すぎる娘×過保護すぎる猫×メンヘラすぎる猫。主張強めな家族との騒がしすぎる日常【書評】

マンガ

公開日:2025/9/23

マジレス幼児とモンペ猫 口達者な娘と過保護すぎる猫たちとの日常』(こばん/KADOKAWA)は、口が達者すぎる幼い娘と、過保護すぎる2匹の猫たちに囲まれて暮らす著者のにぎやかな日常を描いたコミックエッセイ。

 登場するのは、大人顔負けの敬語を操り、叱られても一切ひるまない4歳の娘・おにぎり。そんなおにぎりにとことん愛情を注ぐのが、保護者気取りの猫・みーちゃん。実はこのふたり、赤ちゃんの頃から一緒に育った同い年コンビである。だからこそ、みーちゃんがおにぎりに向ける愛情は筋金入り。母である著者がおにぎりを注意しようものなら、みーちゃんがフーッと牙をむく。過保護すぎるその様子は、まるでモンスターペアレントそのもの。

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 そんな中、がっくり肩を落とす著者の味方になってくれるのが、もう一匹の愛猫・ゴマちゃんだ。今は亡き先住猫・クマちゃんにぞっこんだった過去を持つゴマちゃんは、今や著者に激重なメンヘラ愛を注ぐ大の甘えん坊へ宗旨替え。主張が強すぎる“3人の娘”たちに囲まれて過ごす著者の日常は、もはやツッコミが追いつかないほどドタバタでにぎやかだ。

 本作の見どころはなんといっても、“子ども×猫”という最強タッグによる、笑いと癒やしに満ちたやりとりの数々。特に、ともに成長してきた娘・おにぎりと愛猫・みーちゃんが寄り添い支えあう様子は、まるで本当の親子のよう。猫であるみーちゃんのほうがしっかり者だったり、また時には娘・おにぎりがさりげなく見守っていたりと、その場に応じて立場が入れ替わるような関係も微笑ましい。一方で、とにかく常にかまってほしい、ちょっと拗らせ気味のゴマちゃんの愛情表現も猫好きにはたまらない。

 笑って癒やされて、その上ふとした瞬間にホロリとさせられてしまうのは、ドタバタ劇の裏でしっかりと“家族の絆”が描かれているためだろう。笑顔も涙も、そしてちょっぴり強めの独占欲も——愛しさ全開の家族の日常が、ここに詰まっている。

文=ネゴト / 糸野旬

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