2025年6月に話題になった本は? 珍しく文芸誌がランキング入り。大ヒット映画の原作が急上昇【なんでもランキング】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2025/9/10

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年9月号からの転載です。

 暑い6月だった。前月に続いて大阪・関西万博関連の本が好調で、『大ピンチずかん』(3)や本屋大賞の『カフネ』も売れ続けている。『ポケモン生態図鑑』が2位に登場。『ポケットモンスター ポケモン大図鑑1020+』は前月より順位を落としたものの15位にランクインし、依然として人気だ。

 『私が見た未来 完全版』は5位。噂の7月5日、筆者は京都の河原町界隈を歩いたが、人の出がふだんより少なかった。海外からの観光客が減って影響を受けた企業等もあるという。同じ著者、竜樹諒の『天使の遺言』は12位。

advertisement

 11位の『GOAT Summer 2025』は文芸誌。紙の雑誌が冬の時代といわれるなかで創刊され、文芸界だけでなく各方面で話題になった雑誌の第2号(基本的のこのランキングは書籍が対象だが流通上の事情で書籍扱いされる雑誌やムックが含まれることもある)。特集は「悪」そして「旅」。税込の定価は雑誌名にちなんで510円。

 コミックは『転生したらスライムだった件』(29)をはじめ講談社が1〜4位を独占した。ただしレーベルはそれぞれシリウス、モーニング、週刊少年マガジン、アフタヌーン。社内で複数のレーベルを競わせて魅力を高められるのが大手出版社の強みだ。

 文庫では吉田修一『国宝』が映画の高評価&大ヒットを受けて1位と3位に。宮部みゆきの「三島屋変調百物語」シリーズ『青瓜不動』が7位に、中山七里の『能面検事の死闘』が10位にそれぞれ初登場するなど入れ替わりがある一方で、有吉佐和子『青い壺』が売れ続けているのは驚異的だ。

文=永江 朗

読者が選ぶ 今月読んで面白かったおすすめ本

一般

★1位『謎の香りはパン屋から

『謎の香りはパン屋から』
『謎の香りはパン屋から』(土屋うさぎ/宝島社)1650円(税込)

○パンに謎をからませるストーリーも面白かったし、謎を解いていくなかで、少しずつ成長している主人公にも魅力を感じました。(47・女)
○ミステリーと聞くと、難解なトリックや複雑な人間関係を連想してしまうが、今作は全くの別物。パンが題名に入っているのも個性があって良い。(47・男)

★2位『札幌誕生

『札幌誕生』
『札幌誕生』(門井慶喜/河出書房新社)2475円(税込)

★3位『パズルと天気

『パズルと天気』
『パズルと天気』(伊坂幸太郎/PHP研究所)1760円(税込)

文庫

★1位『伝説とカフェラテ 傭兵、本屋をたてなおす

『伝説とカフェラテ 傭兵、本屋をたてなおす』
『伝説とカフェラテ 傭兵、本屋をたてなおす』(トラヴィス・バルドリー:著、原島文世:訳/創元推理文庫)1430円(税込)

○ファンタジー好きにはたまらないオークやエルフ、ドワーフたちが普通に暮らす世界観が大好きです。主人公のヴィヴが本と出会い本屋を建て直して行くところも最高にかっこいいんです。(50・女)

★2位『鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ

『鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ』
『鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ』(知念実希人/実業之日本社文庫)902円 (税込)

★3位『どうせそろそろ死ぬんだし

『どうせそろそろ死ぬんだし』
『どうせそろそろ死ぬんだし』(香坂鮪/宝島社文庫)800円(税込)

コミック

★1位『ソラリス』(上

『ソラリス』(上)
『ソラリス』(上)(森泉岳土:マンガ、スタニスワフ・レム:原作/ハヤカワ・C)
『ソラリス』(下)
『ソラリス』(下)(森泉岳土:マンガ、スタニスワフ・レム:原作/ハヤカワ・C)各1980円(税込)

○原作小説の世界を壊さずにマンガ化されていることにただただ感じ入った。画のタッチも素晴らしく、『ソラリス』の世界に心から浸れた。装丁の美しさもあり、書棚で見かけたときに吸い寄せられるようにして手に取ったことも忘れ難い。(46・女)

★2位『ブルーピリオド』(17)

『ブルーピリオド』(17)
『ブルーピリオド』(17)(山口つばさ/講談社アフタヌーンKC)792円(税込)

★3位『であいもん』(19)

『であいもん』(19)
『であいもん』(19)(浅野りん/角川C・エース)792円(税込)

あわせて読みたい