薮 宏太(Hey! Say! JUMP)さんが選んだ1冊は?「人は、常に変わっていくもの 矛盾も含めて、自伝を楽しみたい」

あの人と本の話 and more

公開日:2025/10/10

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年10月号からの転載です。

 サッカー好きの薮さんが選んだ一冊は、40歳を迎えた名選手の自伝。

「いろんなサッカー選手のインタビュー記事や自伝を読みましたが、イブラヒモビッチの一人称は必ず "俺"。翻訳者も、彼の俺様気質を感じ取っているんでしょうね。すぐカッとなるし、ビッグマウス。スターというよりヒール的なキャラですが、すべて結果で黙らせてきました。そんな彼が引退間近になって、内面を吐露したのがこの本。自分が完璧じゃないこともわかっているし、意外とビビっている時もある。そんな一面を知って、また好きになりました」

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 年を重ね、悪童イブラも後輩を導く立場に。その変化にも共感する。

「ACミランでは、彼の経験、勝者のメンタリティを若手に植え付けて。役割が変わっても、柔軟にリーダーシップを取る姿がかっこいいんです」

 サッカー好きではない人にこそ読んでほしいと薮さん。

「彼の人生は面白すぎるし、語り口も痛快。チームメイトのガットゥーゾ選手を頭からバケツに突っ込んだエピソードなんて最高です。それに、人は常に変わっていくもの。その時々で感情も変われば、話すことも変わります。そういう矛盾も含めて、自伝を読む楽しさだと思います」

 そんな薮さんが主演を務めるのが、音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』。映画を原作にしつつ、舞台ならではのアレンジが加わっている。

「映画のパラレルストーリーのような設定です。とても緻密に練られていて、台本だけでクスクス笑ってしまいました」

 薮さん演じる村田は、小さな広告代理店のプランナー兼営業マン。

「映画オタクで、こだわりが強いタイプ。でも周りのことはしっかり観察している人です」

 そんな村田が、同僚たちとタイムループする1週間を過ごすことに。

「オフィスという限られたシチュエーションで、登場人物も少なくて。でも、それぞれの気づきから、日々起きる出来事が少しずつ変わっていきます。視覚的な演出もワクワクしますし、音楽劇なので音楽が効果的に使われていて。ミュージカルではないものの、歌も披露します」

 座長として意気込みも十分。

「同じ1週間を繰り返すので、一言一句同じセリフも出てきます。ですが、舞台はその時にしか湧き上がらない感情があるし、相手の熱量からも影響を受けるもの。毎公演、繰り返す日常を新鮮に演じたいですね」

取材・文=野本由起、写真=TOWA
ヘアメイク=二宮紀代子、スタイリング=寒河江 健(Emina)、衣装協力=ジャケット7万4800円、シャツ2万8600円、パンツ3万3000円(すべてmarka/税込)、その他スタイリスト私物

やぶ・こうた●1990年、神奈川県生まれ。2007年、Hey! Say! JUMPとしてCDデビュー。09年、ミュージカル『シー・ラヴズ・ミー』で舞台単独初主演を果たす。23年に再演され、約13年ぶりに同役を演じ、話題になった。主な出演作に、舞台『tick,tick…BOOM!』『BE MORE CHILL』、ドラマ『眼の壁』など。

アドレナリン ズラタン・イブラヒモビッチ自伝 40歳の俺が語る、もう一つの物語
(ズラタン・イブラヒモビッチ、ルイジ・ガルランド:著、沖山ナオミ:訳/ソル・メディア)2200円(税込)
「わかったぜ。認めるよ。俺は40歳だ。俺は神ではあるが、ちょいと老いぼれた神だ」。元スウェーデン代表であり、そのビッグマウスで知られる悪童が、現役引退前に語り下ろした自伝。40歳を迎えた“人間イブラヒモビッチ”を浮かび上がらせた一冊。

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?
原作:映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」
上演台本・演出:ウォーリー木下 
出演:薮 宏太、平間壮一/梶原 善ほか 
東京公演:10月5日~27日(PARCO劇場)、大阪、長野公演あり 
●徹夜続きの小さな広告代理店。実は、社員全員が同じ1週間を繰り返していて……!? タイムループからの脱出を目指すお仕事ヒューマンドラマ!

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