店員への態度をチェック! DV加害者目線の漫画からわかるモラハラのバロメーター【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/9/27

「自分は有能で、仕事も家庭もうまくやっている」そう思っている勝ち組の夫・翔。そんな夫とは裏腹に、夫の機嫌を絶えずうかがい、傷ついてきた妻・彩。自分がモラハラ被害者と気づいた彩は、娘を連れて家を出て行った。変わりたいけど変われない、もがき苦しむ夫。壊れた夫婦関係を修復しようと努力するが、妻が出した結論は――。そんな一組の夫婦を描いた漫画『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』。そして、翔の上司で毒親だった鳥羽とその娘・奈月、ふたりの会社のハラスメントについて描く漫画『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』。2作の原作者である中川瑛さんは自身も妻へのパワハラを行ってきた元DVパワハラ加害者だといいます。現在はGADHA(ガドハ)というDV加害者が集まるコミュニティやPaToCa(パトカ)という親子関係に関するコミュニティを運営している中川さんに、2作が生まれた経緯やコミュニティで得た知見についてお話を伺いました。

――主人公は結婚前から店員さんに横柄だったり、他の人に冷たい態度を取ったりする描写があります。これはご自身やGADHAの団体に参加される方の中にそういった傾向の方が多かったからでしょうか?

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中川瑛さん(以下、中川):そうですね。これは「いっぱいそういう人がいたから」ということにつきます。ただ実はGADHAでは加害者の類型を2種類想定していて。今回は1種類の類型のほうしか描いていないんです。

――その2種類というのは、それぞれどんな型なのですか?

中川:ひとつは今回描いたように暴力的だったり支配的だったり、大きくいうと相手に干渉するタイプです。もうひとつは全くのケアレス。つまり興味を持たないことによる暴力というタイプです。GADHAではケアの欠如も暴力と見なしています。例えば配偶者が体調を崩していても無関心であったりすることですね。相手に対して無関心、常に受け身でいながら、同時に他責思考である。あとから何か言われた時に「自分はやりたいわけじゃなかった」「やらされた」「あなたがやりたがっていたから」と言ってうまくいかなかった結果を引き受けないタイプです。『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』では前者のパターンをメインに描きました。

――2種類ある中で、前者のパターンを描こうと思ったのはなぜですか?

中川:前者のほうが多いというのもありますが、わかりやすいからですね。後者のパターンは、配偶者が「自分は傷ついているんだ」と自覚するのも難しいんです。

取材・文=原智香

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