「おまえの将来を思ってのことだ」コミュニケーション不全は夫婦間だけではない! 親子関係や職場関係にも繋がる【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/9/29

「自分は有能で、仕事も家庭もうまくやっている」そう思っている勝ち組の夫・翔。そんな夫とは裏腹に、夫の機嫌を絶えずうかがい、傷ついてきた妻・彩。自分がモラハラ被害者と気づいた彩は、娘を連れて家を出て行った。変わりたいけど変われない、もがき苦しむ夫。壊れた夫婦関係を修復しようと努力するが、妻が出した結論は――。そんな一組の夫婦を描いた漫画『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』。そして、翔の上司で毒親だった鳥羽とその娘・奈月、ふたりの会社のハラスメントについて描く漫画『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』。2作の原作者である中川瑛さんは自身も妻へのパワハラを行ってきた元DVパワハラ加害者だといいます。現在はGADHA(ガドハ)というDV加害者が集まるコミュニティやPaToCa(パトカ)という親子関係に関するコミュニティを運営している中川さんに、2作が生まれた経緯やコミュニティで得た知見についてお話を伺いました。

――『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』の続編『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』はどのような経緯で生まれたのでしょうか?

advertisement

中川瑛さん(以下、中川):一作目の漫画の中で二作目の主人公になる鳥羽が「娘の結婚式に呼んでもらえない」と話すと、一作目の主人公である翔から「手紙を書いてみては」と言われるシーンがあるんですよ。そのシーンでは鳥羽が「それもいいね」と言って感動的・好意的なシーンになるのですが、僕の妻がそれを読んだ時に「私ならいらないし、もらっても読まない」と言ったんです。それがGADHAの次の展開とリンクしていて。

 というのも、GADHAから派生して今、PaToCaという親子関係についてのコミュニティやCoNeCaという職場にするコミュニティも運営しているんです。それが生まれたのは、家庭でDVやモラハラ加害をしている人の中には、親子関係や職場のことでの問題を抱えている人がいるということがわかってきたからなんです。だから夫婦というパートナーシップのことだけではなく、もっと広い視点で考えようと。そうしてGADHAの活動が広がっていったことで、続編が生まれていったということです。

――GADHAに相談に来る方のお話を聞いている中で、必要だなと感じたことがコミュニティにも続編にも繋がっているんですね。

中川:そうです。僕自身も親からの傷つきがあって親とは縁を切っているんですが、そういう親子関係ってDV被害者と加害者の関係とすごく似ているんですよ。そこで親子関係を絶たれた親側の学びの場所があったほうがいいなと思ったんです。PaToCaを運営しているとすごくわかるのですが、親もDV加害者と同じで、悪意を持って子どもを傷つけてやろうと思っている人っていないんですよ。自分なりに良かれと思ってやってることとか、それが普通・当然だと思ってやっていたことが子どもを傷つけているという。そういう自分がなぜ子どもを傷つけているかわかっていない人の感情を受け止めることができる場所が必要なんじゃないかなということで、まずは続編の前にコミュニティを作ったという時系列だったと思います。

取材・文=原智香

あわせて読みたい