「DV・モラハラ加害者は変われるか?」元DV加害者でもある著者が出した答えは【著者インタビュー】
公開日:2025/10/3

「自分は有能で、仕事も家庭もうまくやっている」そう思っている勝ち組の夫・翔。そんな夫とは裏腹に、夫の機嫌を絶えずうかがい、傷ついてきた妻・彩。自分がモラハラ被害者と気づいた彩は、娘を連れて家を出て行った。変わりたいけど変われない、もがき苦しむ夫。壊れた夫婦関係を修復しようと努力するが、妻が出した結論は――。そんな一組の夫婦を描いた漫画『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』。そして、翔の上司で毒親だった鳥羽とその娘・奈月、ふたりの会社のハラスメントについて描く漫画『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』。2作の原作者である中川瑛さんは自身も妻へのパワハラを行ってきた元DVパワハラ加害者だといいます。現在はGADHA(ガドハ)というDV加害者が集まるコミュニティやPaToCa(パトカ)という親子関係に関するコミュニティを運営している中川さんに、2作が生まれた経緯やコミュニティで得た知見についてお話を伺いました。
――今現在も、自分がDVモラハラ加害者であることに薄々気づきつつもどうしていいかわからない状態の方はたくさんいると思います。そんな方にどんな言葉を届けたいですか?
中川瑛さん(以下、中川):今の状況を、周りの人に話せないという方も多いと思うんですよね。GADHAは同じようなことをして同じような状況になった人がたくさんいて、そういう人と今の状況を話せる場なんです。無料だし、匿名で顔を出す必要もありません。だからまずは来ていただきたいですね。実際に「漫画を読んで来ました」「妻が漫画を読んでGADHAを勧められました」という方も多くて。それは僕にとってもとても嬉しいことでした。
――DV・モラハラをする人がいた場合、「相手は変わらないから自分が距離を置かないと」と考える人もいると思いますが、中川さんは「DV・モラハラをしている人間は変われる」とお思いですか?
中川:これはとても難しい問題です。いろんな言い方があると思うのですが、「人を傷つけてしまう人間は学んだり変わったりできない」ならば、この世は地獄になってしまいます。つまり、もしあなたが何らかの失態を犯してしまった場合、周囲からは「そこから絶対に変われないモンスター」だと思われるということですよね。人間ってみんな未熟な段階から生きていくわけで、その中で人を傷つけてしまうこともあると思うんです。人は学び変わることができると信じ、それを支援できる社会であって欲しいと思います。
しかし、「モラハラをする人は変わらない」という主張の背景には、そう主張する人の過去には傷つけられた事実があり、その事実を尊重しなければならないとも思います。また、「加害者が変わることを支援する社会」を作るためには、被害者の方が適切に守られ、生活の安全・安心が保障されることも必ず必要になると思います。世の中の社会問題の多くは、被害者の方々がその社会構造ごと解決することに向かわざるを得ないことが多く、それはとてもアンフェアなことだと思っています。加害者である自分達こそが取り組むことに意味があると思っています。
取材・文=原智香