「ドンマイドンマイ切り替えていくよーー!!」子どもを怒ってしまったと反省するママの脳内に現れたのは…!? ポンコツエピソードも満載のハイテンション育児マンガ【書評】
PR 公開日:2025/10/12

子育て中の辛さ、ふとした瞬間の子どもの可愛さ……そんな“あるある”を共有できるのが育児マンガ。リアルなママ友同士では話せないことも、マンガを読んで「自分だけじゃないんだ」と思ったり。一度も会ったことがないのに著者と「わかるよ……!」と肩を組みたくなる。そんな素敵な育児マンガが増えています。
個性豊かな家族のメンバーと振り切れた著者のテンションで、読むと元気になれるのが『まむの巣!ポンコツすぎる子育て日記』(茹田まむ/主婦の友社)。『お義母さんもいっしょ!?』などで敷地内同居する義母との日々を描いた著者が、子育てをテーマに描いた1冊です。
読むと元気になれる! 突き抜けたテンション
本書は著者である、まむさんと夫、ふたりの娘さんとの日常を綴ったもの。その魅力はなんと言ってもまむさん一家のテンションです。例えば豆まきの時、鬼を怖がる子どもたち……という、どの家庭でも体験したことがありそうなエピソードでも、まむさんファミリーの勢いは桁違い。


「今日子どもたちに怒ってばかりだった……」子どもの寝顔を見ながら自己嫌悪に陥り涙したくなる夜。多くのママが通ってきたそんな夜も、まむさんは脳内に部長を召喚して切り替え。まるで、ミスをしたチームメイトを励ますように「ドンマイドンマイ切り替えていくよーー!!」と声をかけてくれる部長。そんなハイテンションさに、読んでいると元気をもらえます。

自分の失敗もエピソードに! あふれ出るママ友感
育児マンガには、「子どもの可愛さを伝える系」「親としての心の持ちようを示してくれる系」「成長過程を描く系」などさまざまなタイプがあります。そんな中、本作の特徴としてひとつ言えるのが、「親の失態も晒してくれる系」。保護者のネームプレートと間違えておもちゃの金メダルを首から下げたまま学校へ……というあるある(?)から、週に一度はリンスを流し忘れるというパンチの効いたエピソードまで、タイトル通り自らのポンコツっぷりを惜しげもなく晒してくれるまむさん。私も数々のエピソードを持つうっかり人間なので、読んで笑ってしまったのと同時に「自分だけじゃないんだ」と同志を見つけた気持ちになりました。

こんな失敗をした、家事にこれだけ手を抜いている……。ともすればマイナスな話題は、ママ友同士でも「引かれるかな?」と思い、仲良くならないと話せないもの。そんな部分を自らさらけ出してくれる本書は。とっても仲良くなったママ友とお喋りしているような、そんなリラックスをもたらしてくれます。
ブログ、SNSでは読めない出産エピソード
本書には描き下ろしとして、娘さんふたりの出産エピソードを40ページ以上の大ボリュームで収録。人の数だけ出産物語があるとはよく言いますが、まむさんの物語ももちろん強烈。これまで多くのエピソードに登場したクセ強めの義母、そして同じくらいクセ強キャラの実母も登場し、ジェットコースター並みの勢いの感動譚が楽しめます。

またもうひとつ、それぞれのエピソードに対するまむさんのコメント(時々夫も登場)。一歩引いた視点で当時を振り返ったり、さらなるカオスを生み出したり。さまざまなスタイルの一言がさらなる笑いを届けてくれます。
育児中の束の間の休憩のお供にぴったりな1冊。しかし子どもがお昼寝している横で読むときは、笑いすぎないようご注意を!
文=原智香