「子どもの頃に夢中になった図鑑を思い出しながら、作りました」【むし岡だいきインタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2025/10/23

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年11月号からの転載です。

 ひとつの世界を追求し、その面白さや豊かさを伝える人たちで溢れているYouTube。そこにまたひとり、注目のスターが現れた。むし岡だいきさんだ。彼が愛してやまないのは、昆虫の世界!

「投稿をはじめたのは2018年9月。その頃はまだ昆虫採集YouTuberは数えるほどしか存在しませんでした。ぼくは子どもの頃から昆虫が大好きで、だったらやってみようかなと。当時、テレビで昆虫の番組が盛り上がっていたこともあって、もしかしたら観てもらえるんじゃないかとも思ったんです」

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 そうして始めた動画投稿。およそ1年後には“バズ”も経験した。

「コロギスというバッタの仲間がハエに寄生されてしまって、その様子を投稿してみたんです。そうしたら信じられないくらい反響があって、スマホの通知が鳴り止まない。正直、怖いくらいでした」

 それを機に、むし岡さんのチャンネルは一気に知られることになる。現在は約26万人の登録者を抱え、昆虫界でも一目置かれる存在に。そして、今年6月には初めての著書となる『むし岡だいきの「世界の昆虫」おった!図鑑』を発表した。

「『昆虫の図鑑を作りませんか?』とご連絡いただいたときには、そんな責任重大なことはできないと感じました。ぼくは昆虫の専門家じゃないし、勉強をしてきたわけでもない。ただ好きでやってきただけなので。でも、編集さんと話しているうちに、子どもの頃の気持ちを思い出したんです。当時、昆虫の図鑑をボロボロになるまで読み込んでいて、それが楽しかった。大人になったら自分もいろんな昆虫に会いに行くぞ、という夢にもつながった体験でした。だから今度は、子どもたちに向けてぼくがそういう図鑑を作ってみたい、と決意しました」

 本書の特徴はなんといっても、臨場感あふれる写真がたくさん詰め込まれているところ。見たこともないような昆虫たちが大迫力で掲載されており、虫好きキッズは興奮すること間違いなしだろう。

「図鑑の良さって、やはり写真だけでも楽しめるところだと思うんです。なので、格好いい昆虫の写真をできる限り掲載しました。ぼくはバッタやカマキリが好きなので、それらの写真も多めにピックアップしています。とはいえ、掲載できるクオリティの写真がなくて泣く泣く諦めた昆虫もいるんです。そもそも自分が図鑑を作ることになるだなんて想像もしていなかったので、昆虫採集をしていても写真ではなく動画撮影を優先していたので。こんな未来が来るとわかっていたら、もっと写真を撮りまくっていたと思います(笑)」

 本書は発売即重版もかかり、むし岡さんの勢いは増すばかりだ。そんなむし岡さんの今後の夢は?

「図鑑は継続して作っていきたいです。そのために一眼レフも買って、昆虫の格好いい写真を撮りためています。それから、いつかは昆虫の展示施設を作りたい。いまはまだ映像や写真でしか見せられていない昆虫を、リアルに見られるような場所です。子どもたちにも喜んでもらえるんじゃないかなと。同時に、昆虫たちが暮らす自然を守るため、保護活動などもやっていきたい。昆虫たちのおかげで影響力をつけさせてもらえたので、それを恩返ししたいんですよ」

むしおか・だいき●兵庫県尼崎市出身。昆虫採集YouTuber。トレーディングカードゲーム「蟲神器」公認サポーター。チャンネル登録者数は約26万3000人。昆虫を発見したときの「おった!」は決め台詞として、子どもたちに愛されている。一番好きな昆虫は「コロギス」。また、シンガーソングライター「富岡大輝」としても活動している。

取材・文:イガラシダイ

むし岡だいきさんの本


『むし岡だいきの「世界の昆虫」おった!図鑑』

『むし岡だいきの「世界の昆虫」おった!図鑑』
『むし岡だいきの「世界の昆虫」おった!図鑑』(むし岡だいき:著、野村周平:監修/光文社)1650円(税込)

むし岡さんが世界中をまわって実際に見つけた昆虫たちを地域別に109種も掲載! オールカラーで掲載された写真はどれも迫力満点。むし岡さんが昆虫を飼育する部屋や、肉食で獰猛な昆虫“リオック”の飼育ガイドも。虫好きを大満足させる一冊だ。

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