「まじめな人ほど、まじめに休もう」“パフェねこ”の著者Jamさんが「休み下手さん」に贈る60のヒント【書評】

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PR 公開日:2025/10/20

ニャンだかラクになる休み方
ニャンだかラクになる休み方(Jam:著、名越康文:監修/スターツ出版)

 休み方を忘れてしまった人たちを指南する書籍が好評で、まさに“休み方ブーム”とも言える昨今。目からウロコのアイデア満載で、さらに眺めているだけでも癒やされる1冊を見つけました。OZbooksから刊行された『ニャンだかラクになる休み方』(Jam:著、名越康文:監修/スターツ出版)です。シリーズ累計40万部を突破した『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)の著者Jamさんによる最新作。ワーカホリックで休み下手な人こそ知っておくべき60のヒントとは? またしても、可愛い猫たちがまじめな人たちに新たな気づきを与えてくれます。

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まじめな人ほど、まじめに休もう

 4コマ漫画に登場するのは2匹の猫。1匹の猫は、仕事を休みたいのに、頑張っている同僚や会社に申し訳なくて休めない“休み下手”さん。そんな猫に、もう1匹の猫がこう言うのです。「まともな会社ほど社員が休んでくれないとこまるよ。ブラックな会社だと思われちゃう」のだと。

 つまり、会社は困っていないのだといいます。むしろ困らせている可能性がある。同僚にしても、あなたが休まないから休めないのかもしれない。さらにいえば、頑張っている人ほど、“体を壊すまで”休むことの重大さに気づけない。

 この漫画には、Jamさんがゲーム関連業務に就いていた頃の経験が重ねられています。休みたくても休めないタイプで、疲れて、疲れて、でも休めず、やっと休めたのは“体を壊したとき”だったとか…。だからこそ、倒れてしまう前に休まなければならないのだとJamさんは言います。

「仕事にまじめな人ほど罪悪感を感じやすい」「それなら就業規則にもまじめに従って休もう」と猫は伝えています。

休み方がわからないと悩んだら…

 さて、休み下手の猫はようやく休みが取れたようです。ところが今度は「休み方がわからなくて悩んでいる…」とウジウジ。もう1匹の猫は「旅行好きなんだから、旅行でも行けば?」とすすめますが、休み下手さんは「遠出したら逆に疲れるじゃん…」と心配そう。すかさず、相手の猫が「多分体はさほど疲れてないんだよ」と伝えます。そのワケは…?

 疲れたときは、ここに登場する休み下手猫のように「疲れなくて癒やされる休み方」を求めがち。けれども、どう休んだらいいのか悩んでいるうちは、多少なりとも心に余裕がある証拠だとか。心身ともに疲れているときは、悩むことさえ疲れるので何もしたくなくなる(できなくなる)らしく…。自ら経験した著者が言うのだから間違いなさそうですね。

 休みの日に居ても立っても居られないほど「何かしたい」と感じるのなら、ライブでも旅行でも、いかにも疲れそうな何かをしても多分大丈夫。「心の疲れが取れて元気になる」「『どんな休み方をすればいい?』ではなく『今何がしたい?』とと考えてみて」と著者は語りかけます。心当たりがあるのなら、今のあなたに必要なのは、休むことではなくストレス解消かも。

苦手な人との交流に疲れてしまう

 職場や仲間同士の集まりで圧倒的に多いのは人間関係の悩み。本書に登場する猫も、「苦手な人との交流」に悩んでいるみたい。でも、もう1匹の猫は「苦手な人って好きでも嫌いでもない絶妙な位置にいるんだよね」と語ります。嫌いな人と対峙すると深く傷つくことがあるけど、苦手くらいの人ならイラッとするくらいと言うのです。

 すなわち、苦手な人に何かされたとしても、ギリギリ我慢できるくらいの軽症。ならば、それを「本当に危険な人に会ったときのための訓練にしてしまおう」というのがJamさんの考え方です。むしろ「自分はこういうことをされると嫌なんだな」と振り返ったり、「こういうことを考える人もいるんだ」と他の人の気持ちを察したりして耐性をつけることができるのだと、ポジティブに考えられそうです。

 苦手な人とは関わらないのが一番だけど、そうもいかないのが現実。逃げ出して新しいコミュニティに入ったとしても、苦手な人がひとりはいるのが現実ではないでしょうか。苦手な人がいるのは確かにイヤ。だけど、すごく悪い人に会ったときのための訓練材料と思えば、悪くないかもしれない。猫の言葉にならって、“小雨”くらいの災害にイラッとしつつも大雨が降ったときに備えましょう!

逢うべくして出逢う一冊

 休み下手さんが休むには、時間ができたら休むのではなく「絶対に休む」という覚悟が必要。「休むことは必要なこと」「適度に休まなければ、どんな種を撒いても良い成果を出せるはずがない」と断言するJamさん。本書のあとがきでは「この本があなたにとって、逢うべくして出逢った一冊となれますように」と語っています。

10数年間、「休みたい」と思いながらも「今、休んだら…」という不安に負けてを繰り返してきたというJamさん。ストレスや疲労でメニエール病などを発症してからは「休まないと、次は命が止まるかも」と反省し、今では1日6時間は寝て平穏な毎日を過ごしているのだそう。

“ニャンとも”癒やされる猫さまの言葉はガツンと心に響き、「今自分に必要なのはこれだった」という気づきを得るのと同時に、スーッと心の負担が軽くなるのがわかります。大袈裟ではなく、あなたの人生の飛躍はこの本に出逢えるかどうかにかかっているかもしれません。

文=吉田あき

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