第29回「家が好きな人」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本

文芸・カルチャー

公開日:2025/10/22

鈴原希実_2025_10月_写真

インドア派、アウトドア派という言葉があると思います。
あなたは一体どっち派でしょうか?

ちなみに私は、断然インドア派。
家でのんびり漫画を読んでいる時間が至福のときです。

今日はそんな家での時間をこよなく愛する人達の姿を描いた、心がほっこりとする作品を紹介したいと思います。

今日ご紹介するのは『家が好きな人』。

こちらの作品はイラストレーターの井田千秋さんが贈る温かい日常を家と共に描く、オールカラーコミック&イラスト集となっています。

この作品の良さは表紙、そして1ページ目を開いた瞬間から、一瞬で伝わると思います。

そのくらいイラストが本当に素晴らしいのです。

それはクオリティが高いなども勿論なのですが、個人的には井田さんの描くイラストの実在性と、色の温かみが大好きなんです。

たとえば、1軒目で登場するササさん宅。

こちらのお家でササさんが食べているピザトーストとコーヒー。

ピザトーストのパンの焼き加減やチーズのふわトロ具合、そしてコーヒーに牛乳が入った瞬間の混ざり具合などが鮮やかに表現されています。

そしてそれを乗せている食器だったり、棚にある食器や植物も全てが細かく描写されているのです。

それらを見ていると、あまりセリフは多くないのに、「ササさんはきっとこういった方なんだろう」と自然と想像出来てしまうのです。

そのくらい実在性が高い作品になっているんです。

ですが、リアルさもありつつある程度のデフォルメもされているので、現実よりも更に鮮やかに美しく、美味しそうだったり華やかに見えるようになっているのかなと感じました。

それがこの作品を見ていて、こんな素敵な生活してみたいだとか、ほっこりするという気持ちに繋がっていくのではないかと思います。

個人的には3軒目のナナコさん宅のお部屋だったり、雰囲気が特に素敵だなと感じました。

雨の日の外がどんよりしている時間に、部屋着に着替え、あえて部屋をもっと暗くして。
いい香りのするろうそくを灯して大好きな映画を見る。

こんなの良すぎますよね。

私は普段から、バタバタとお仕事の準備などに追われて落ち着きがなくなりがちなので、こういった生活すごく憧れるなと思いながら読み進めていました。

みなさんもこの作品を読んで、色んなお家にお邪魔して、登場人物の皆さんと一緒にまったりとしたひと時を過ごしてみるのはいかがでしょうか?

鈴原希実_2025_10月_イラスト
<第30回に続く>

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