お婆さんを部屋から追い出した強引な方法とは⁉保証会社の闇を描いた衝撃マンガ【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/10/30

もし部屋の家賃が払えなくなったら、そのときは2つの選択肢しかない——。『出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱』(鶴屋なこみん、原案協力:0207/KADOKAWA)は、部屋の家賃を滞納した人の賃料を立て替え、その立て替え分を督促する家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事を追ったコミックエッセイだ。取り立てに向かうと契約者がご遺体になっていることもあれば、テレビでよく見る芸能人からひどい文句をぶつけられることも…。さまざまな理由で家賃を滞納する人たちのマンガを読んでいると、“一歩間違えれば自分も債務者になるのでは…”という恐怖が頭をかすめる。原案は「カクヨム」で家賃保証会社の実態を告白してきた0207さん。「過酷な業務によるストレスを解消するために書き始めた」という本人に、家賃を管理(回収)する仕事のディープな日常を聞いた。

※書籍発売当時の2023年以前のお話としてうかがっています。

advertisement

——家賃を払えない貸借人を退去させる場合、法的な手順を踏むと短くても半年くらいかかるそうですね。そんななか、おばあちゃんをわずか15分で追い出すような悪徳業者もいる…。会社によってまったく違うやり方におそろしさを感じました。

0207:悪徳業者として出てきたのは、実在する家賃保証会社です。彼らは、延滞客の部屋のドアにカギを取り付け、部屋から締め出すロックアウトも平然と行います。不在の延滞客を待つために勝手に部屋に入りさえします。おかしいですよね。

家賃保証会社を取り締まる法律はないっていう人もいますけど、刑法はありますし、人の家に勝手に入ったらダメですよ。

——すぐに追い出してしまえば手間は省けそうですが、問題ですよね。貸借人のほうも、そもそも家賃を滞納するのは良くないことですが、準備ができないまま退去と言われても困ってしまうと思います。

0207:家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事は「(滞納した家賃を)払ってもらうか、(部屋を)出ていってもらうか」、極言すれば、それだけです。延滞客に、どちらかを選んでもらう仕事です。

そして、法律や世間体もありますが、”何をどこまでやるのか”は会社によってマチマチです。ほとんどハウスルールみたいな部分もあるかもしれませんね。

でも最近はSNSもありますから、無茶なやり方は減ってきてるんじゃないでしょうか。炎上して黒コゲになっちゃいますからね。

——強引なことができなくなっている分、保証会社の負担は増えそうですが。

0207:明渡訴訟が増えれば、コストは増すでしょう。巡り巡れば保証料の値上げにもつながるかもしれませんね。

——ハウスルールがまかり通ってしまうという家賃保証会社の闇を感じます。

0207:まかり通ってるわけでもないと思いますよ。やっちゃダメなことをやってる会社があるってだけで。非常識な会社は、時間はかかっても淘汰されていくのでしょう。

話は少し変わりますが、不動産会社って、家賃保証会社からバックを受け取ります。保証料から。代理店手数料なんかの名目で。保証料の80%をバックする家賃保証会社もあります。

それはいいとして、「いくらバックを受け取ってます」というのを、実際にカネを払う契約者に教えてないのは、不誠実かなと。「お客様本位」とか謡ってたりするのにね。バックを受け取る分、入居時の初期費用とか管理費を安くしてあげたりすればいいのに…と少しだけ思います。

取材・文=吉田あき

あわせて読みたい